お笑いもコンサルも、下手なネタを見せてこそ育つ東大卒お笑いタレント 石井てる美氏

私自身が2016年の米大統領選の2年前に始めたヒラリー・クリントンさんのネタも、アイデアが生まれた当初は自分でも「これがネタになるのかな?」と手探りで衣装も間に合わせ、何よりキャラクターに気持ちがまだこもっていませんでした。しかし、2年間改良を繰り返すことで大統領選の頃までにはかなりキャラクターとして確立させることができました。これも、完成にはほど遠くとも最初に勇気を出して形にしてみたところから始まったのです。まぁ大統領選では負けてしまったんですけどね(笑)。

まずは強引でも「仮説」を立てる

ヒラリーさんの物まねを始めたころ。外観は似ているが、気持ちは今ほどこもっていなかった

さらにアウトプットは何も全て自分の力だけで作られたものでなくていいのです。むしろ最良のアウトプットのためには借りられる力はどんどん借りて自分なりの正解に近づけていけばいいのです。

もちろん人のアイデアを勝手に盗むことはご法度ですが、許される範囲で、芸人仲間や身近な構成作家の人の意見を取り入れるもよし、既存の音楽を使うもよし。絵を使いたいけれど自分で描けないならば人に描いてもらうもよし、というように、自分の周りで使えるリソースをフル活用して自分の中でまとめてアウトプットしていけばいいのです。

さて、この「とにかくアウトプットをすること」「それをもとに常に改良を重ねること」「人の力をどんどん使うべし」という考え方はまさしくマッキンゼーで教わったアウトプット思考や仮説検証に非常に似ているなと気づきました。

マッキンゼーではいつなんどきもアウトプットを出すことを求められました。プロジェクトに途中参加した直後でさえも、「プロジェクトにキャッチアップする(追いつく)ためにそれまでの資料を読み込む」だけで時間を費やしてはならず、すぐに何かしらの成果を出してチームに貢献しなければなりませんでした。

そして、仕事は強烈な「仮説思考」のもとに進められます。“解決すべき問題”に対する解決策の「仮説」を先に立てて、さまざまな情報や分析をもとに検証し、ズレていると分かればすぐに書き換えて、精度を高めていきます。まずは強引にでも仮説を立てないと始まらないのです。

また、「レバレッジするように」ということもしょっちゅう言われました。「レバレッジ」とは、てこのこと。もともとは小さい力で大きな物を動かすという意味で、金融業界でも頻繁に使われる言葉です。これがマッキンゼーでは、「人の力を活用せよ。人に頼める部分はどんどん頼むべきだ。自分じゃなくてもできることは、自分でやる必要はない」という文脈で日常的に使われていました。

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一番必要なのはアウトプットを続ける勇気と信念
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