日経DUAL

バーべキューと缶詰は相性抜群

ベーコンがジュウジュウ音を立て始めるとともに、妻はまたもいそいそとクーラーボックスから何やら取り出した。一つはコーンの缶詰。蓋をあけてバターを放り込み、軽く塩コショウをふりかける。バーベキューと缶詰は相性がいい。蓋をあけてそのまま火にかけてちょっと味付けするだけで、手が込んだ雰囲気の一品が出来上がるからだ。

それから妻が並べたのはカマンベールチーズだ。周囲をアルミホイルで包み、上部の縁から1センチくらい内側に切り込みを入れて蓋を外すようにあけて、そのまま炭火の脇のほうに置く。しばし置いておくと中のチーズが溶けて、チーズフォンデュができるという算段だ。

さらにもう一品、オリーブオイルと冷凍のエビとにんにくを入れて味付けし、アヒージョを作る。こちらもバーベキューグリルの隅っこに置いておくだけでいつのまにかグツグツと音がして出来上がり。

缶詰もチーズフォンデュもアヒージョもさして手はかからないのに、バーベキューの彩りとして大正解だった。娘はバターの香ばしい香りにやられ、「コーンもっと食べたい!」と、お代わりをしまくっていた。

バーベキューの彩りに、手のかからないアヒージョ

本格的に焼き肉に突入した後も、野菜や肉、そしてフランスパンを溶けたチーズやアヒージョに浸したりして楽しんだ。塩コショウや焼き肉のタレは万能だけど、そればかりだと単調だ。ちょっと売れ残った感がある焼き鳥も、トロトロのチーズをからめて食べると、急に高級なフランス料理のような装いになるから侮れない。炭火で焼いたカボチャにアヒージョをかけるのもなかなかイケる、という新しい発見もあった。

ほかに今回のヒットだったのがポークスペアリブ。こちらも前日に下ゆでして、醤油と酒、そしてマーマレードに漬け込んでおいたものだ。スペアリブといえば焼くのに時間がかかるイメージだが、下ゆでしてあるからこそ焼き時間も短縮でき、なおかつ骨から肉がホロッと外れやすくなる。

焼きながらも、妻はハケで漬け汁を何度か塗り込んでいた。こうすることでさらに味が染み込み、見た目もテラテラと輝いてくる。そもそも僕にはバーベキューにハケなんて持ってくる発想がなかったので、わが妻ながら、食べ物に対する執念に脱帽してしまった。骨付き肉にガブリと噛み付くと、口の中にジュワッと肉汁と炭火の香りが広がる。これぞバーベキューの醍醐味だ。

「もっとりんご! り・ん・ご!!」

一方で、そのころにはもう肉には飽きてしまっている者がいた。長女である。

「アレは? なのきにあけるの?」

と繰り返し言いながら、網の上に置かれたアルミホイルに熱い視線を送っている。「なのきに」というのは娘が近頃よく使う言い回しで、「何のときに」の誤用である。意味としては「いつ?」と同じ。つまり、「アレは? いつあけるの?」と聞いているわけだ。

そんなふうに彼女がしきりに催促するのは、アルミホイルの中身がりんごだと知っているからだ。そう、デザートは焼きりんごなのだ。りんごをアルミホイルに包んで網の端っこに乗せておくだけで、気付けばトロトロホクホクの一品に仕上がる。これにバターを落とし、大人用にはシナモンをふりかけ、ハフハフとつまむ。いつものりんごと違う食感が新鮮だ。娘もすっかり魅了されたようで、「もっとりんご! り・ん・ご!!」と、絶叫していた。

ホイルに包んで網に乗せておくだけでトロトロのりんご