2018/8/8

しかし、不動産業界の慣行として買い主が不動産業者と媒介契約(物件探しを不動産業者に依頼する契約)を結ぶタイミングは契約日当日がほとんどで、その結果、買い主にインスペクションをする意思があっても実質的にはできないことになっているのです。

一部の大手不動産業者は購入の申し込みのタイミングで媒介契約を締結するよう現場に指導しているようですが、それでも「買い主側からインスペクションの依頼はほとんどない」と聞いていますので、現場の担当者はインスペクションを積極的には推奨していないのでしょう。

購入申し込みの直前に媒介契約を

そこで、中古住宅を購入する方々にぜひ実践してもらいたいことがあります。一般にいくつかの中古住宅を見学し気に入った物件が見つかると、購入申込書を不動産業者に提出します。この申込書を出す直前に不動産業者と媒介契約を結んでもらいたいのです。

媒介契約書にはインスペクション業者のあっせんの可否を表示する欄がありますので、まずは確認してください。仮にその不動産業者が「インスペクション業者をあっせんできない」としていても、買い主が自らインスペクション業者を探してくることは許されていますので、インスペクションを希望する場合は不動産業者にきちんと伝えましょう。

中古住宅の品質や信頼性にかかわる問題

そして申込書には、購入条件として「契約前にインスペクションを実施すること」と書面に記載してください。そうすると買い主の意思が売り主にきちんと伝わりますので、売り主もインスペクションを許可すべきかどうかきちんと検討するはずです。

中古住宅の売買契約を締結する前にインスペクションを実施することは、中古住宅の流通の活性化につながります。中古住宅を選ぶ立場にある買い主がインスペクションを当然のように求めるようになれば、中古住宅の品質や信頼性も高まるでしょう。

田中歩
 1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。