中古住宅の「診断」浸透せず 改正法施行4カ月不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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中古住宅の売買に関し、今春から建物の「診断」を事前に実施するかしないかを不動産業者が売り主や買い主に確認するよう義務付けられました。改正宅地建物取引業法が施行され、不動産業者は建物状況調査(インスペクション)をする業者のあっせんの可否を事前に示さなければならなくなったのです。しかし、改正法施行から4カ月が経過したいま、現場の感覚として「インスペクションはあまり浸透していない」と筆者は感じています。

極めて低い実施割合

インスペクションとは、国の登録を受けた「既存住宅状況調査技術者」が建物の基礎や外壁のひび割れ、雨漏りなどの劣化や不具合の状況を目視や計測で調査するもので、売買契約を結ぶ前に実施することが基準になれば中古住宅の取引に安心感が醸成され、流通が活性化すると期待されています。そのこととはこのコラムの「中古住宅の売買が変わる 『診断』の意思、確認義務化」でも詳述しました。

しかし、インスペクションを実施済みの中古マンションや中古戸建てを確認できる大手物件検索サイトを調べたところ、東京都内にで売りに出ている中古マンションで2万6506件中76件(0.3%)、中古戸建てで6283件中42件(0.7%)という状況です。

これらすべての物件が今年4月以降に売り出されたものではないでしょうが、一般的には売り出しから3カ月以内で売買されるので、8割以上は4月以降に売りに出されたと思われます。インスペクションの実施割合は極めて低いと言わざるを得ません。

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