2018/8/6

また、自治体による医療費の助成制度もあります。中学3年生までの自治体が多いのですが、病気やけがの診療費で自己負担は原則発生しません(一部予防接種などで自己負担があるが、助成を受けられる接種は多い)。自治体によっては高校3年生までの助成制度もあります。

人生において医療費のほとんどが生じるのは未成年の時代と年金生活の時代なのですが、子育て世帯の医療費負担は少なく見積もっても100万円以上は軽減されていることになります。

また、未就学児の保育料が高いとはいえ、実際の保育費用はそれ以上かかっていますから、かなりの税金が投じられています。

学校教育も同様です。税の使い道について紹介する国税庁の学習コンテンツによれば、公立学校に通う生徒は小学校から高校まで12年、1人当たり合計1145万円の税が投入されているそうです。大学でも毎年90万~100万円くらいの税が教育に投入されているそうです。

子だくさんで家計が苦しい世帯についても一定の配慮があります。例えば、保育料が軽減されたり(2人目の負担は軽減、3人目以上の場合は無償など)、児童手当が手厚くなります。

これらを総合的に考慮すれば、実は子どもを育てるために社会が支援する費用というのは、相当の金額になっているのです。

支援の狙いは少子化対策だけでない

国の自治体の支援の狙いは少子化対策だけはありません。会社員が子育てと仕事を両立していくことは、トータルでは社会に有意義であるからこそ、支援を行っているのです。

社会の生産性向上とそれに伴う税収入増と、子育て支援とのバランスを考慮しつつ、対策は打たれています。子どもが知識水準の高い形で社会人になることは、国全体の労働生産性向上に直結します。

次のページ
今でも相当ある支援策、今後の拡充に期待