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ヒットを狙え

20年目の『大学図鑑!』 監修者語る学生気質の変化

2018/8/11

写真はイメージ=PIXTA
日経トレンディ

2000年に初版が出版された『大学図鑑!』が2019年版で20周年を迎えた。20年間『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を監修し、学生を取材してきたオバタカズユキ氏に、親世代の頃と比べて学生気質はどう変わっているかを聞いた。

◇  ◇  ◇

20年前に早稲田大学と慶應大学の学生が集まっていたら、彼らが早慶のどちらなのかを瞬時に当てる自信があった。今は、見た目では区別できません。早稲田の代名詞「バンカラ」を知らない学生が増え、みんなフツーなんです。

オバタカズユキ氏。64年、東京生まれ。上智大学文学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライターに。99年から『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を監修。近著『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)で、早慶の違いを取材や統計データで分析

でも話していると、早慶のカラーの違いが出てきます。慶大生は大人と話すのがうまい。相手が聞きたいことを察して、スムーズに応答できる。嫌みなほどそつがなくて、就職活動はお手のものでしょう。しかし長く話していると、みんな言うことが似通ってくるんです。本音はどこにあるんだろう。そこを突っ込むとかわされてしまう。

早稲田はもっと自分の意見を出す学生が多い。バンカラという言葉は知らなくても、「個性的でありたい」という気質は残っています。「しゃべりのうまい早稲田」の系譜のキレモノが現存する一方で、話していて不安になる学生もいます。仲間内でしか通じないことをいきなり話し出すなど、このまま就活するのは危険だぞと忠告したくなる。二極化しています。

親世代とかなり違うのが、「ワセジョ」と呼ばれる早稲田の女子です。賢くて話がうまく、明るい自虐で場を盛り上げるコミュニケーション力がある。男女混合の集団では、必ずといっていいほど女子がリードしていますね。かつては、ダサくて気が強い少数派というネガティブなイメージだったワセジョが、頭が良くてさばけた自信のある女子という意味に変わっています。

2000年から毎年刊行されている『大学図鑑!」の最新版

そんな早大生たちに近いのが、慶應の湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生。SFCは慶應のなかでは別大学のような扱いを受けていて、日吉や三田の学生を「敷かれたレールの上を走る連中」と、やや敵対して見ている節がある。自律的で多様性を重んじる点で、慶應よりも早稲田に近いんです。

バンカラの系譜にいる明治や法政は、親世代からすると最も変化した大学。おしゃれなイメージで入学した明大生や法大生に、「昔はダサかった」と言うと驚かれる。明大生には今も早稲田コンプレックスがありますが、こじらせてはいない。むしろそれをばねに、「就職活動で一発逆転して、入社したらちゃんと結果を出してやる」と頑張る。

法政大学は、昔は諦めがあって公務員志向だったのが、今は良い意味でも悪い意味でも勘違いしている学生が多い。MARCHの学歴フィルターにぎりぎり引っ掛かっているという認識はあるが、それを選ばれし者だと思って有名企業ばかり受けると全滅してしまう。そんなこともあり、大学もキャリア教育に力を入れています。

昔と比べて、今の学生は本当に忙しい。授業の出席は厳しくチェックされて代返はできないし、割のいい塾や家庭教師バイトが減ったからバイト時間も長い。彼らは授業が休講になったら「ラッキー!」ではなく、コスパを考えてクレームを入れますよ。

少人数教育で役に立つことを学べる今の大学のトレンドは確かにいいけれども、暇がたっぷりあって何かに夢中になったり、社会の理不尽さを感じたりする学生生活もまた貴重な体験です。

[日経トレンディ2018年9月号の記事を再構成]

日経トレンディ 2018年 9 月号

著者 :
出版 : 日経BP社
価格 : 650円 (税込み)


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