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けが人続出! 英国の過激なチーズころがし祭り

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/12

ナショナルジオグラフィック日本版

夏のお祭りもそろそろピークを迎える。所変われば品変わるで、英国グロスターシャーで毎年春に行われる「チーズ転がし祭り」は、かなり過激だ。この祭りは、地元特産のチーズを丘の上から転がし、参加者がそれを追いかける。実際にチーズをつかむのは難しく、誰よりも早くゴールすることが競われる。

祭りが行われるのは、風光明媚なコッツウォルズ地方の端に位置するクーパーズ・ヒル。丘を下っていく約180メートルのコースは時に滑りやすく、急斜面でデコボコも多い。

レースで使われるチーズは「ダブルグロスター」という、高脂肪の硬いチーズ。チーズを転がすと、チーズを追って人々が丘を駆け下りる。

成人男女のレースに使われるチーズは約8ポンド(約3.6キロ)。子どもたちのレースは約4ポンド(約1.8キロ)のチーズを使う。どのレースも、短い時間で決着がつく。子どもたちのレースは丘を上る方式で行われ、危険は比較的少ない。

この行事はもともと、公式な「ウェイク」(地元の言い方で祭りのこと)の一部だった。しかし2010年以降、クーパーズ・ヒルのチーズ転がし祭りは、公式な認可が与えられていない。観客が増え続けることで、安全性についての懸念が高まったためだ。たとえば、レース後に参加者を救急搬送する必要がある場合に、群衆が道をふさいでしまうかもしれない。

グロスターシャーでチーズ転がしが行われたという最初の記録は1826年だが、この伝統自体はもっと古い可能性がある。また、かつては何らかの目的があって行われていたのかもしれないが、それが何だったのかについては、今も議論されており確かなことはわかっていない。

■2018年は記録達成、このレースは「自分の一部」

時とともに、チーズ転がしは他の催しをはるかにしのぎ、世界各国から参加者と観客を集めるようになった。しかしその後、レース用チーズの生産者に対し、警察が警告したこともあり、2013年には、模造品のチーズで代用することになった。長年、伝統的な製法のダブルグロスターをレースに提供してきたダイアナ・スマートさん(86)が、負傷者が出た場合に責任を問われる可能性がある、と知らせを受けたためだ。だが、翌年以降は本物のチーズが復活している。

2018年のレースもこれまで同様、誰もキャッチできなかった。そして伝統に違わず、けが人も続出した。ただ、2018年のチーズ転がし祭りでは記録が生まれた。今大会で、クリス・アンダーソンさん(30)が過去最多の優勝記録を樹立。14年にわたる出場で、「ウイニングチーズ」を史上最も多く手に入れた参加者となったのだ。

レースに参加し始めて以来、脳しんとう、腎臓挫傷、足首骨折といったけがにも屈することはなかった。地元ブロックワースの人気者であるアンダーソンさんは、過去のインタビューで、このレースは「自分の一部」だと話している。

丸いチーズを最速で追いかけるのに、大事な戦略は「走り続けようとすること」だという。アンダーソンさんは自らの記録に満足げだった。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月15日付記事を再構成]

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