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猫カフェ? いえいえネコ船です 訪れる人々と安住

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/8

ナショナルジオグラフィック日本版

甲板で日光浴を楽しむアイシー(8歳オス)(PHOTOGRAPH BY MUHAMMED MUHEISEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

オランダの首都アムステルダムの運河には大小さまざまな船が行き交う。そのなかでとりわけ目立つのが、ネコ専用の船「プージェンボート(オランダ語で「ネコの船」という意味)」だ。

ここは、世界でも珍しい水上の動物サンクチュアリ。50匹ほどのノラネコや捨てネコがこの船で暮らす。数年間ここにすんでいる定住ネコも17匹いる。

「新しく入ってくるネコもいれば、もらわれていくネコもいます」。そう語るのは、この写真を撮影したムハンマド・ムヘイセン氏。同氏はピュリツァー賞を2度受賞した写真家である。2018年にアムステルダムに1週間滞在し、プージェンボートを取材した。

■1966年から続き、動物保護区の認定も

プージェンボートは、1966年にヘンリエッテ・ファン・ヴェールデさんという女性が始めた。近所で「ネコおばさん」として知られていたファン・ヴェールデさんは、捨てネコを引き取って、ネコ用に改造した古い船にすまわせた。

船は何度か改装や新しい船に乗り継がれた。現在の船は、1979年に住居用のハウスボートを改造したものだ。1987年6月、プージェンボート財団は正式に非営利団体として登録された。2001年には、オランダの法律に基づいて動物保護区の認定を受けるため再度改修され、ネコが運河へ落ちないように板とワイヤーで補強されている。

ファン・ヴェールデさんは2005年に90歳で他界したが、彼女の遺産は今なお受け継がれている。現在、プージェンボートは寄付やボランティアによって支えられ、収益金は新入りネコの避妊・去勢手術やマイクロチップを埋め込む手術代に使われる。ムヘイセン氏によると、20代から70代のボランティア20~25人が交代で船を訪れて、ネコの世話をしているという。

ボランティアにブラシをかけてもらうのを待つカスミ(10歳メス)(PHOTOGRAPH BY MUHAMMED MUHEISEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

プージェンボートのネコを引き取るには、細かい手続きが必要だ。船には毎年多くの人々が訪れるが、そのほとんどは観光客だ。特定のネコを見たい場合には予約を入れなければならない。引き取りを希望する場合は、手続きを始めるまで1日かかる。引き取る決断が正しいかどうか、本人に再度じっくり考えてもらうためだ。引き取った後で気持ちが変わったら、ネコを返すことも可能だ

ムヘイセン氏が世界でも珍しいプージェンボートの写真を撮ろうと思った理由のひとつは、ネコへの愛だという。「ネコにとって、人間は環境の一部です。彼らは、人間のことを大きなネコだと思っています。プージェンボートは、今までで最も美しい取材のひとつでした」

次ページからは、ネコ船のネコたちと、船を訪れる人々の写真を12点紹介しよう。

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