石津祥介のおしゃれ放談

アイビーの象徴、ボタンダウンを味わい尽くそう

2018/8/5

――ボタンダウンは首元で襟が緩やかにカーブする「ロール」ができます。このロールの美しさにこだわる人が多いようです。

「いいボタンダウンは、第1ボタンを開けても、ネクタイを締めても、絶妙なロールでなければならない。VANでボタンダウンを作るときには苦労しましたよ。普通のレギュラーカラーをボタンダウンに変えようとしても、襟の生地がピタッと平面的になり、いいロールが出ない。美しいロールはボタンの位置、襟の角度、襟の長さで決まるんです」

――たかがボタン、されどボタン。仕立てが難しそうです。

「ワイシャツのレギュラーカラーでも襟先の長いロングポイント、短いショートポイントといろいろあるでしょう。ボタンダウンは襟の長さ8センチメートルくらいが美しいシルエットになる。大事なのはロールがあまり大きくならないこと。ネクタイをしたときに、襟の裏側まで見えるようではかっこ悪い」

■襟周りは過剰に飾るな

――色々な柄のボタンダウンが出ています。あえて、タブーを挙げてもらえますか。

「個人的に嫌なのはカラーボタンを使っているもの。ボタンホールが黒とか、色糸でのボタン付けもだめだ。襟が2枚重なった二重襟や極端に高い襟腰もクールビズが生み出した痛々しいファッション。一時期、襟腰が高いボタンダウンを着る人が多かったのですが、日本人には似合わないよ。シャツは襟腰が低い方がかっこいいよな」

ボタンダウンのプルオーバー(かぶるタイプ)。マドラスチェック柄も増えている

「襟周りは過剰に飾るものじゃない。そもそもボタンダウンは、普通のワイシャツとは違って、襟の剣先にボタンがある。それ以上、何かを飾るのはトゥーマッチでしょう。日本人はどうも、人と違うところを見せたいばかりに極端な差別化に走りがち。まあ、昨年くらいから、そうした極端なボタンダウンは減ってきましたが」

――そういえば女性物ではボタンダウンを見かけません。

「女性が着てもセクシーではないし、男性っぽいイメージが強いから普及しないのかもしれないね。クールビズのおかげでボタンダウン人気に拍車がかかって、品ぞろえが増えたのはいいこと。男のビジネススタイルはそろそろ、白のワイシャツとダークスーツから脱却してもいいんじゃない」

(聞き手は編集委員 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

関連記事:ビジネスマンよ、「スーツに白スニーカー」を恐れるな

Latest