アイビースタイルの看板商品として、1960年代に絶大な人気を集めたボタンダウンシャツ。それまでのシャツとは異なり、美しく襟が立つスタイルが魅力で「当時の男性、皆が飛びついた」と、服飾評論家の石津祥介さん(83)は振り返る。時代は下り、ファッションのカジュアル化が進む現代、このアイテムが再び脚光を浴びブレークした。品ぞろえが豊富になり、オンでもオフでも愛用する男性が目立つ。そこで石津さんに、ボタンダウンを味わい尽くすポイントを教えてもらった。
――ボタンダウンはアイビールックの象徴。石津さんのシャツもいつもボタンダウンですね。
「紺ブレ(ネイビーブレザー)と同じで万能選手だからね。僕は、シャツはボタンダウンしか着ませんよ。クールビズのおかげで色も柄も多彩になったから、あえてこの6~7年は白ばかり着ている。僕は冠婚葬祭にも着るけど、一般にはボタンダウンにすると自動的に身なりがカジュアルダウンすると考えるべきだ。それを意識しながらどう楽しむかがポイントだ。ビジネスシーンではそこをうまく生かすことだね」
■市民権を得たボタンダウン
――きょうのコットンのスーツのように、きちんとしたスタイルのときにはどう合わせますか。
「生地を選んで。今、着ているのはワイシャツの生地としては一般的なブロード(目の詰まった平織り)。ブロードにはなめらかな光沢があるからビジネスシーンに合うよね。いまや政治家にいたるまで夏場はノーネクタイが主流。クールビズに通用する無地のボタンダウンが市民権を得ました。さらに、柄物や色物、襟とカフスが白いクレリック、太めのロンドンストライプなど、オンのスタイルに着られる選択肢が広がりましたよね」
――ボタンダウンはいつ誕生したのですか。
「米ブルックス・ブラザーズが1896年に開発したポロカラーシャツが発祥だといわれています。ポロ競技は当時、ワイシャツでプレーしていたのですが、風で襟がパタパタする。そこでボタンで襟をとめる発想が浮かんだのです」

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