白河 やっぱり自分で納得することが大事なんですね。実際に普及が進んだチームで見られる効果はいかがですか?

二葉 ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)のリードタイムが短縮されたことで生産性が上がって残業削減につながっています。これまでは、上司が席に戻るまで会社に残って待つとか、上司側も帰社してからメールに個別対応するなどで、互いに時間を拘束し合っていたと思うのですが、それが出先からでも、顔を合わせる必要なく、即座にやりとりできるメリットは大きいですね。

二葉さんは外部のNPOと共同で「はたらく育児」を応援するためのプロジェクト「iction!(イクション)」を立ち上げた

さらにプラスに働いていると感じるのは、「情報共有」の効果です。現場のメンバーが「これって、どうしたらいいんだろう?」と思ったことを、チャットツールで投げかければ、上司に限らず答えられる人がアドバイスをして、そのやりとりを皆が見られるという公開性は、上司の負荷を減らすだけでなく、組織内の知見の蓄積につながっています。

昔は「背中を見て覚えろ」とか同行の途中に歩きながら説法を聞くというスタイルだったのが、今はオンライン上で共有できるんです。結果として、リアルに顔を合わせる定例会議も半分くらいにまで減りました。

次はマネジメント層の意識改革

白河 会議室という物理的スペースも減らしたので、「本当に会って話すべき案件」とそうでない案件の仕分けが、よりシビアにできるようになったということもあるのでしょうね。なるほど。まずは、働きやすさの選択肢を増やしていくステップを踏んだと。その次は何をしようとしていますか?

二葉 マネジメント層の意識改革です。リクルートホールディングスの場合で、社員の平均年齢が35.1歳と若いので、マネジメント層は30代後半から40代に当たります。先ほども申し上げたRMPでは、社長の山口文洋が「持続的な会社成長のため」というビジョンで意欲的に改革を進めていて、17年度は全管理職を対象に、3時間×10回の全30時間のミドル研修を実施しています。

白河 それはかなりしっかりと時間を使いましたね。

二葉 やはりミドル層が「働き方が変わる意味」を深く理解して、メンバーが一人ひとりと向き合って生かしていくテクニックを身につけることが必須であると。まずは、メンバーから挙がった「これって本当に必要?」という違和感を付箋に書き出して、一個一個をまじめに議論して取捨選択や優先順位をつけていくワークをしました。結果、不要な習慣がかなり整理・削減されていったという経緯があります。

(以下、次週公開の下編で営業主導での働き方改革の取り組み、労働時間短縮のノウハウの共有方法などをお聞きします)

白河桃子
少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)