インド、アフリカ、フィリピン、インドネシアなど、主に亜熱帯の国々で重宝されている「モリンガ」という植物をご存じでしょうか。和名を「ワサビノキ」といい、一見どこにでもありそうな見た目ながら、「モリンガに捨てるところなし」と言われるほど、葉や実や種はもちろん、茎、根、花に至るまでたっぷりの栄養が含まれ、ミラクルツリー(奇跡の木)と呼ばれています。インドでは2000年以上前から伝統医学・アーユルヴェーダにモリンガを用いるなど、古来より人々の健康に役立てられてきたスーパーフードです。
日清食品は今年6月、モリンガに含まれる豊富な栄養素に着目した「奇跡のモリンガ青汁」を発売するなど、スーパーフード市場でもモリンガに注目が集まっています。暑さで食欲が落ちやすい、疲れが出やすい今の季節にこそ、健康維持のため積極的に取り入れていきたいモリンガ。どんな栄養が含まれているのか、どんなふうに摂取するのか、そしてモリンガを使ったメニューを提供している都内の飲食店を紹介します。
女性の健康、美容に強い味方
「モリンガには、90種類以上の栄養素と全9種類の必須アミノ酸が含まれています」と話すのは、管理栄養士・ナチュラル料理研究家の谷口あゆこさん。「特に多く含まれている栄養素としては、ビタミンA・B1・Cなどのビタミン、亜鉛・鉄分・カリウム・マグネシウムなどのミネラル。食物繊維やGABAなども豊富です」と話す。
谷口さんによれば、モリンガを摂取することで夏バテ予防にも効果が期待できるといいます。「夏バテの症状として、主に身体のだるさや疲れを感じやすくなる点が挙げられます。これは夏の暑さによって汗が流れる際、体に必要な栄養素も一緒に流されてしまうのが理由の一つ。夏バテを防ぐためには、失われがちな栄養を補い、疲労回復や体力維持に役立つ栄養素を摂ることが大切です」と谷口さん。
夏バテ防止に効果があると考えられるのが、以下の栄養素です。
ビタミンC:抗酸化作用があり、夏の紫外線のダメージから守る。暑さなどからくるストレスがビタミンCの消費を促進させるため、こまめにとる必要がある栄養素。
ビタミンB1:疲労回復効果があり、糖質代謝に欠かせない栄養素。
ビタミンE:血流を促進する。夏の冷え対策に。
鉄分:血液の構成成分である赤血球に必要な栄養素。酸素や栄養素を身体のすみずみに運ぶために欠かせない。
カリウム:水分の代謝を良くする栄養素。むくみ対策はもちろん、カリウムが不足すると脱力感が出たりイライラしやすくなったりするため、汗をかきやすい夏に摂りたい栄養素。
これらの栄養素は美肌づくりやダイエット、ストレス解消などの手助けにもなります。驚くべきは、これらすべてモリンガ(主に葉の部分)に含まれているということ。いくつもの食材やスーパーフードに手を出す必要がないという効率の良さも、モリンガがミラクルツリーと呼ばれて重宝されてきた理由の一つといえそうです。