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カリスマの直言

丸井など続々…若者を投資に呼ぶ新風に期待(渋沢健) コモンズ投信会長

2018/8/6

カード支払いで積み立て投資できる選択肢が増えることは顧客本位といえよう。ただし、リボルビング払いはできない仕組みになっている。高い金利を支払うことは長期的な積み立て投資の手段としては本末転倒であるからだ。

■普通の人が足を運べる空間づくり

tsumiki証券で私が特に注目しているのはリアルな店舗での集会の場の提供という試みだ。デジタルネーティブの若い世代にとって手続きがスマートフォン(スマホ)で完結することは当たり前のことだ。従って、tsumiki証券も口座開設、取引、決済はスマホで完結できる。とはいえ、若者たちはリアルに集まる空間も欲している。

証券会社と店舗というと一部の富裕層が出入りするイメージがあるが、tsumiki証券が普通の人が普通に足を運べる空間づくりに成功したら、かつてない斬新な証券会社になる。

tsumiki証券の当初の投信ラインアップは4本で、長期投資を考える「草食投資隊」としてトップが活動する3社からお選びいただいた(セゾン投信2本、レオス・キャピタルワークス1本、弊社コモンズ投信1本)。このうち、3本の日本株投信は全てファンドマネジャーが積極運用する「アクティブ型」である。

丸井グループの青井社長(右から4番目)と筆者ら。「草食投資隊」として新しい証券会社を応援する

顧客が初心者だからこそ、商品提供のみならず、各社のセミナーなどを通じて資産づくりを支援したいという狙いからだ。投資の面白さを知っていただく上でも株価指数に連動するインデックスファンドにはないアクティブファンドの魅力を訴えていきたい。

そもそも、丸井が証券業に参入したのは「従来の金融サービスが富裕層や高齢者に偏っており、若い人が取り残されている」(青井浩社長)という思いからだ。若者は将来不安を抱えているにもかかわらず、業界はうまくニーズを取り込めていなかった。若者がコツコツ投資して将来に備えることは世代間格差の是正など社会問題の解決にも役立つであろう。

■焦点は国内勢の参入ばかりではない

今後の焦点は国内勢の参入ばかりではない。書籍や物品の通販による膨大な顧客情報を持つアマゾン・ドット・コムも参入が取り沙汰されている。今は沈黙しているが、ひとたび動き出せば業界への影響は計り知れないだろう。いずれにしろ、こうした動きは業界を根本的に変える可能性を秘める。

もちろん、新規参入会社は様々な困難に直面するであろう。顧客獲得が期待通りにいかない場合もあるかもしれない。しかしながら、かつてネット証券がそうであったように、社会のニーズさえつかめばビジネスを伸ばすことは可能だ。

肝心なのは過去の成功体験や旧来の価値観に縛られず、自由な発想でチャレンジすることだ。新風に期待したい。

渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に「渋沢栄一 100の金言」(日経ビジネス人文庫、2016年)など。

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