モバイルモスク? 五輪客向けにトラック礼拝室登場都内のイベント会社など開発、体を清める水も用意

2018/8/3

インバウンド最前線

日本を訪れるイスラム教徒向けに、移動式の礼拝室が登場した。東京都内のイベント会社などが大型トラックの荷台部分を改造した。一度に50人程度の礼拝が可能で、礼拝前に体を清めるための水も提供する。2020年東京五輪・パラリンピックの選手や観客の利用を見込む。日本では空港、駅などに礼拝室が作られるようになったが、移動式は珍しい。

スポーツイベントなどの企画を手掛けるYASU PROJECT(東京・中央)の井上康治社長らが約1億円かけて製作した。「モバイルモスク」と名付けて販売・レンタルする。十分な礼拝室のない体育館やスタジアム、観光施設などでの活用を想定している。海外での販売も検討中で、すでに複数の国から照会があるという。

一度に50人程度が礼拝できる(7月23日、愛知県豊田市での発表会)=共同

25トントラックの荷台部分が左右にせり出す構造で、約48平方メートルの礼拝スペースを確保できる。室内は冷暖房が完備。男女が別々に礼拝できるように間仕切りを作ったり、礼拝の方角を指し示すコンパスを設けたりすることも検討する。トラックには貯水タンクと4つの蛇口がついていて、水道のないところでも礼拝前に体を清められる。

一般的にイスラム教徒は1日5回、聖地メッカに向かって礼拝する。特別な施設は必要ないが、「天候や周囲の目を気にせず、落ち着いた環境でお祈りしたいというニーズは大きい」(井上氏)という。7月23日の発表会で実際に礼拝した女性も「観光で来日するイスラム教徒にとって、礼拝する場所があると安心できる」と話していた。

日本では成田空港、東京駅などに礼拝室があるが、ごく一部にとどまっている。井上社長は「これからラグビーのワールドカップや五輪・パラリンピックなど大きなスポーツイベントが続く。落ち着いてお祈りできる環境を整えて、大勢のイスラム教徒をおもてなししたい」と話している。

(山根昭)