コンビニのアイススイーツ 流行はフルーツ&若者狙い
手軽に買える冷たいスイーツといえば、やはりコンビニエンスストアに並ぶアイス類だろう。記録的な猛暑となっている今夏、コンビニ各社はどんなコールドスイーツに力を入れているのか。セブンイレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンのコンビニ4社の動向や、新商品を探ると、2つの傾向が見えてきた。果物を豊富に使ったもの、そして若年層に受け入れられる工夫だ。
面倒なフルーツを手軽に食べたい層にヒット
コンビニ4社のうち、ミニストップとローソンが力を入れているのが、果物を豊富に使ったものだ。
ミニストップは「ハロハロ 果実氷いちご」(320円)を発売。2017年から夏季限定で発売している、たっぷりの冷凍いちごの上にソフトクリームがのった商品だ。17年は想定以上の人気により、280万食が1か月で完売した。18年は十分な量を用意したほか、7月6日からは限定商品としてシリーズ第2弾となる「ハロハロ 果実氷温州みかん」(320円、現在は販売終了)を発売するなど、力を入れている。
「記録的な猛暑で、7月の売り上げは非常に好調でした。手軽に冷たいフルーツをとれることも好評でした」(ミニストップコーポレートコミュニケーション部秘書・広報チームの曽山弘章さん)
ミニストップではそのほかのフルーツ系も好調だ。6月1日から販売している「静岡クラウンメロンソフト」(250円)が計画値を上回る販売量を記録。大きめの白桃を浮かべた「ゴロッと果肉のピーチティー」(290円)も、6月いっぱいで終了の予定だったが、好評のため販売を延長している。
果物を使ったスイーツが好調な理由について、曽山さんは「フルーツを手軽に食べたいというニーズがある」。確かに果物はむくのが面倒だったり、一人暮らしで買うには量が多すぎたりといった問題がある。だが、スイーツなら簡単に食べられる。そういった人たちの需要がフルーツ系アイススイーツの人気を支えているようだ。
ローソンもフルーツを使ったラインアップ
ローソンも、7月3日から「MACHI cafe Lipton フルーツインティー」(350円)を販売している。レモン、パイン、いちごの3種のカットフルーツと氷が入ったカップに、リプトンのアールグレイティーを注いだドリンクだ。提供時にはストローだけでなくスプーンも添えられ、大きめのフルーツの果肉は食べて味わうこともできる。これも人気が高く、2週間分を想定していた40万個が2日で予定数に達し、出荷終了してしまったという(7月31日に販売再開)。
「夏はみずみずしさやすっきりとした甘さを求め、フルーツを使った商品の需要が増えます。今年も特に女性の方に受け入れられ、売り上げ増につながっています」(ローソン広報室の李明さん)
ローソンでは他にも「ウチカフェ フルーツバー 佐藤錦」を7月3日に発売。サクランボの佐藤錦の果汁を31パーセント使用し、果物の濃厚な風味を楽しめるフルーツバーだ。17日には「ばん桃」「巨峰&ピオーネ」、31日には「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と、次々に新しいフルーツを使ったラインアップを展開している(価格はどれも160円)。
ファミマ、セブンは若年層をターゲットに
一方、ファミリーマートとセブンイレブンでは、人気商品にマイナーチェンジを施し、10~20代の若年層への訴求を目指している。
セブンイレブンは、累計販売数で約2800万個を記録したという「スイーツ氷」シリーズで、はじめてバータイプを発売した。5月8日の「セブンプレミアムティラミス氷バー」(138円)を皮切りに、6月19日から「セブンプレミアム クレームブリュレ氷バー」(149円)、7月4日からは「セブンプレミアム ピーチヨーグルト氷バー」(138円)が登場している。
「これまで好評だった『スイーツ氷』シリーズを、より手軽に楽しんでもらおうと新規開発をしました。店舗によっては販売を終了しているものもありますが、8月、9月も立て続けに新商品を投入していく予定です」(セブン&アイ・ホールディングス広報センターの松尾奈央子さん)。バータイプはカップよりも手軽なので、屋外で食べたり、スマートフォンを触りながら片手で食べたりすることを想定している。カップタイプがスイーツに関心の高い20~40代の女性をターゲットにしているのに対し、バータイプはそれよりも年齢の若い層も含めた男女をターゲットにしているという。
「ワンハンド(片手)で食べられる簡便性が好評で、現在、好調に推移しています。例年販売が大きく伸びるのは梅雨明け以降なので、7、8月の販売最大化を期待しています」(松尾さん)
いっぽう、商品パッケージのデザインを変更し、若年層を狙ったのがファミリーマートだ。
ファミリーマートのフラッペシリーズは18年4月までで累計1億杯を突破した人気商品だが、「10代後半~20代前半の女性層に対して、開拓の余地がまだ多くある商品だった」(ファミリーマート総合企画部広報室・広報グループの樋口雄士さん)。そこで18年はデザインを変えることで、これまでにない層を取り込もうと考えた。
特に4月に発売された「ギャラクティカグレープフラッペ」「ファンタジーピーチフラッペ」(各290円)の2種類は、淡い色が混ざり合ったデザインはインパクトが大きく、SNS(交流サイト)でも頻繁に投稿された。
他にも、6月に発売された「チョコミントフラッペ」(290円)、7月に発売された「メロンソーダバニラフラッペ」(250円)なども、手に取りやすいポップなデザインに変更。これまでより幅広い層への訴求を図っている。
17年はシリーズ最多の10種類を発売したが、今年はそれを超える15種類以上を発売。「訪れるたびに新商品が出ている」と思わせる効果を狙い、1~2週間という短いスパンで新商品を投入している。
(文 小沼理=かみゆ)
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