週末レシピ インド料理のビリヤニ、日本米で簡単調理
夏はエスニックのハイシーズン。中でも最近、人気急上昇なのがインド料理の一つ「ビリヤニ」。パラパラとした食感とスパイシーなうま味が魅力で、食欲の減退する夏場でも食が進むご飯メニューです。ビリヤニを本格的に作ろうとすると、かなり大変です。本場インドではカレースープと半分ゆでたコメを交互に層状に敷き詰めて蒸しあげ、調理時間は2時間以上かかるとされています。驚くことに、屋台でさえもこの作り方をしているところが多いそう。
しかし、今回はフライパン1つで、しかも日本のコメでもパラパラに仕上げられる裏技を大公開します。調理時間は45分(コメの浸水時間を除く)。材料をフライパンに順番に入れて混ぜて煮るだけなので、調理はとても簡単。
<ビリヤニの材料 3~4人分>
日本米(無洗米がお薦め) 1.5合 / 鶏モモ肉 1枚300~400グラム程度 1枚(一口大に切る) / 肉漬け込み用タレA (塩 小さじ1、カレーパウダー 大さじ1、粉トウガラシ〈カイエンペッパー、一味トウガラシでも可〉小さじ2分の1 、すりおろしニンニク 大さじ1、すりおろしショウガ 大さじ1、ヨーグルト 大さじ2) / いため用オリーブオイル 大さじ2 / 黒粒コショウ 小さじ2分の1 / ローリエ 1枚 / シナモンスティック 1本(半分に折ったもの) / タカの爪 1本 / 水 300ミリリットル / ピーマン 1個(縦に約1センチメートル幅に細切り) / レーズン 大さじ2 / 仕上げ用トッピング(バター 大さじ2、プチトマト 5個〈半分に切る〉) / 飾り用パクチーの葉(茎の部分はライタに使う)
*カレーパウダーはメーカーによりスパイスの配合に若干の違いがあります *粉トウガラシで辛さは調整可能。上記は辛い料理が普通に好きな方の分量 *カレールーはお薦めしません
本場では、ビリヤニには長粒種の形状のパスマティライス(インドやパキスタンで最高とされている品種で粘りが出にくいもの)を使うのが一般的。短粒種の形状の日本米はもっちりとしているのが特徴で、パラパラになりにくいので一般的にはビリヤニには使われません。
日本米でビリヤニを作るなら一番お薦めなのは無洗米。コメは洗うことによって、日本米独特の粘りが出やすくなってしまうので、無洗米の方がパラパラになりやすいのです。また洗う必要もなく、浸水させておくだけでよいので手軽。無洗米を使わない方は、普通のコメをさっと洗うだけにしましょう。どちらの場合も30分程度、浸水させておき、浸水後はザルなどで水気を切っておきます。
鶏モモ肉は、あらかじめスパイシーな漬けダレに10分程度漬けこんでおきます。一口大に切られて販売されている唐揚げ用の鶏肉であれば切る手間も省けます。
タカの爪、シナモンスティック、ローリエなどは入れなくてもできますが、これらを使うとかなり本格的になります。料理をあまりしない人こそ、上級者に見えるこの裏技をお試しください。
では、作り方をざっくりと説明しましょう。(1)コメを洗い、30分程度浸水させてからザルにあげて水気を切る(2)鶏モモ肉にスパイスをつけてもみこむ。ビニール袋に入れてもむとよい(3)フライパンに材料を順に入れて煮込む‐‐。
コメの浸水をしている間(30分)に、ビニール袋などに鶏肉を入れ、タレAの材料をすべて加えてもみこみます。ビニール袋だと肉とスパイスの密着度が高まるので味がなじみやすくなります。
次にフライパンにオリーブオイルとタカの爪、黒粒コショウ、ローリエ、半分に折ったシナモンスティックを入れます。火をつけてオリーブオイルが熱くなったらコメを投入します。
オリーブオイルが全体に回るように、コメを1分から1分半ほどいためてから、スパイスに漬け込んでおいた肉を加えて、さらに1分程度いためます。味のムラができないように、全体的がざっくりと混ざればOK。
次に水、ピーマン、レーズンを入れ、沸騰したら蓋をして、弱火にして加熱します。水を入れてからは混ぜないこと。ここで混ぜてしまうと日本米特有の粘りが出てしまいパラパラにならないからです。ビリヤニを日本米でパラパラに作る最大のポイントはここです。
だんだんスパイスの香りが立ち込め、たとえば、ホームパーティー用に作ったとしたら、この辺りで「わぁ、いいにおいがしてきた!」「待ちきれない!」という声が飛び交う頃です。
約15分たったらいったん蓋をあけてコメの硬さを確認しましょう。ここで少し硬すぎると感じるようであれば、大さじ2の水を全体にふりかけて、蓋をしてさらに3分加熱します。ご飯の硬さがちょうどよくなったら、火力を強火にし、30秒程度、加熱します。水分が飛んでパチパチとコメが焼ける音がしてきたら火を止め、バターを投入して蓋をし、10分蒸します。
この「コメを焼く」工程がパラパラに仕上げる2番目のポイントです。余分な水分を飛ばせば日本米でもパラパラになるのです。
最後にバターを入れることで料理にコクをプラス。カロリーを心配して、レシピ通りでなく、バターを少量だけ使おうという人もいるかもしれませんが、それであれば、逆に全く入れない方がベター。実はバターの量はひと鍋に30グラム程度入れないと、人の舌はコクを感じないものなのです。熱々のビリヤニに、カットしたプチトマトやパクチーの葉をトッピングすればでき上がり。
まずはそのまま熱々を味わってみてください。さまざまなスパイスの香りが食欲をそそります、タレに漬け込んでおくので、鶏肉は驚くほど軟らかくなります。ご飯の上にのせたことで、やや温まったプチトマトは甘みが増し、スパイシーなビリヤニの中でよいアクセントにもなっています。
さらに本格的なビリヤニに仕上げたい方のために、つけ合わせの「ライタ」というヨーグルトソースの作り方も伝授しましょう。現地ではこの組み合わせで食べるのが一般的で、辛いビリヤニもライタをかけることで辛さが緩和されるので、辛さが苦手な方にもお薦めです。またライタをかけることで、ビリヤニの味が変化し、最後まで食べ飽きないのも特徴。
<ライタの材料>
プレーンヨーグルト 200ミリリットル / 塩 小さじ1/4 / プチトマト 1個 / パクチー茎部分 1株分/ 紫タマネギ(アーリーレッド) 1/8個 / 粉トウガラシ(カイエンペッパー・一味トウガラシ)少々
ライタの作り方は次の通り。(1)プチトマト、パクチーの茎、紫タマネギをみじん切りにする(2)ヨーグルトの中に塩と(1)を入れて混ぜる(3)仕上げに粉トウガラシやカイエンペッパーを振るーー
ライタの中に刻んだキュウリやパプリカなど加えると、サラダ感覚でもいただけます。ミントを入れたり、季節野菜に替えたり、すりおろしニンニクを入れたり、ライム汁やレモン汁を絞ってみたりなど、アレンジもお薦めです。
ビリヤニに辛口のスパークリングワインを添えて、おしゃれなホームパーティーをしてみませんか。この機会にエスニック料理のレパートリーを1つ増やして楽しい夏を過ごしましょう。
(GreenCreate 料理研究家イトウジュン)
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