千鳥の「貴様」に反響 「スマニュー」CM好感度上昇
2018年6月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する6月度の銘柄別CM好感度ランキングで、スマートニュースが4位にランクインした。お笑いコンビの千鳥が、スマートフォン・タブレット向けのニュース閲覧アプリ「スマートニュース」の新コンテンツである「クーポンチャンネル」を使う様子を描くもの。幅広い層から「面白い」と支持され、同社として自己最高位のCM好感度を記録した。
6月度に最も多く流れた「呼び名」編では、スマホを手にした千鳥の大悟が、最新のお得なクーポンを毎日配信する「クーポンチャンネル」の画面をスクロールしてみせ、相方のノブに「便利だから毎日つこうとんよ。貴様は?」と尋ね、ノブが「貴様!?」と返すやりとりを描く。
6月度はほかに「神」編、TBS『S☆1』との番組連動CMの合計3作品がオンエアされた。千鳥が「クーポンチャンネル」を紹介するCMは3月31日からスタート。4月度57位、5月度15位と尻上がりにCM好感度の順位を伸ばし、6月度で自己最高の4位を記録した。
CM好感要因を見ると、「出演者・キャラクター」をトップに「ユーモラス」「ストーリー展開」「商品にひかれた」「宣伝文句」と続く。調査モニターのコメントには「『貴様』がウケる」「漫才を見ているようで面白い」「千鳥らしいオチで面白い」と千鳥のやりとりが面白いという声が圧倒的。「クーポンがたくさんあるところが気になった」「クーポンを使ってみたい」とサービス内容に触れるコメントも目立った。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、「子どもから40代の主婦、60代男性まで幅広い層から支持されています。大悟の自由奔放な振る舞いをノブが一言で制するやりとりが、千鳥の漫才の面白さだと思いますが、そのフォーマットを生かして、クーポンが毎日届くというワンメッセージを幅広い層に伝えられたようです。『貴様』という強い言葉をフックにできたのも、千鳥の芸風がベースにあるからでしょう」と千鳥の起用を評価。
日経エンタテインメント!が毎年実施している「お笑い芸人人気ランキング」の2018年版では、千鳥は「この1年で最もブレイクした芸人」の11位にランクイン。「好きな芸人」ではノブが20位に入った。いずれも今年初登場で、人気が上り調子のタイミングもCMの注目度を高めた。「好きな芸人」では、ノブや18位の小籔千豊のように、アドリブに強く、飾らずに自分の声を届けるタイプが支持される傾向がみられる。そんなキャラクターもCM好感度にプラスに働いたようだ。
スマートニュース執行役員マーケティング担当の西口一希氏によると、撮影の現場は笑いが絶えなかったとか。「企画内容は決まっていましたが、テークごとに千鳥さんのアドリブ、アレンジがどれも秀逸で、毎回、スタジオ内が笑いに包まれていました。最初から最後まで笑い続けた撮影は初体験でした。一番、笑いが大きかったテークは尺が長くなり過ぎて、そこにいたスタッフと私たちだけが楽しませていただきました」と言う。
■オンライン広告の手法も
CM総研の関根代表は、画面の見せ方にも着目する。「右側に実際のアプリの画面を出して、大悟さんのスマホ操作とシンクロして動かせたのは、アプリの魅力が誰にでも伝わる工夫ですね。こうした分かりやすさも、幅広い層の支持につながったようです」
CMは「貴様」や「クーペン」といったキーになるセリフやシチュエーションが異なるバージョンで6編を制作。「一番評価の高いCMをテレビで放送し、それ以外をファンの皆さんにお届けしたかったので、ウェブで公開している」(スマートニュースの西口氏)という。「視聴者の反応を探りながら、流すバージョンや出稿量の調整を重ねていく手法で、CM好感度の順位を毎月確実に上げています。オンライン広告の手法をうまく取り入れたやり方も成功しています」と関根氏はみている。
西口氏によると、「まだ現在のCMへの反応が強く、当面、このCMを継続する予定です」とのこと。今年さらに人気を伸ばしそうな千鳥だが、CMの世界でも存在感を増すことになりそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2628銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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