2018/7/31

子育て通じ子供とふれあう仕事に関心

保育の世界に飛び込むのは子育て真っ盛りの世代だけではない。ニチイ学館が運営するニチイキッズ大久保駅前保育園(兵庫県明石市)で働く赤木安希子さん(46)は、3年ほど前に保育士に転職。

幼児に笑顔で接する他業種から転職した保育士(兵庫県明石市)

赤木さんは短大の栄養学部を卒業し、新卒の就職時は3年間デパートの販売員として働いていた。結婚を機に退職し、出産を機に子育てについて学びたいと思い、主婦業の傍ら、30代で約3年間通信制の学校を利用し、教育・発達心理学や保育内容の指導法などを学び保育士の資格を取得したという。「子育てを通し、子どもとふれあう仕事に興味が出てきた」とし、「子育ても落ち着いてきたので再就職に踏み切った」と話す。

今までの職場との違いを聞くと、「子育てに理解があり、子育てをしながら働いている人もいる。子どもの成長が身近で見られるため、とてもやりがいを感じる」と話す。今後の目標は「声のかけ方や子どもの意欲の引き出し方など、保育の技術を増やすこと」と意欲を語った。

ネオキャリアの担当者は30・40代の保育士求人について「子育ての経験は就職に有利。ライフイベントが一段落し、定着率が高いのも強みになる」と説明する。

仕事にも役立てるため資格取得へ

子育てに加え、今の仕事にも役立てようと保育士資格の取得を目指す人もいる。TBSの吉田明世アナウンサー(30)はその一人だ。今春の筆記試験をパスし、今は実技試験の結果待ちだ。

吉田さんは5月に第1子を出産したばかり。筆記試験を受けた4月は臨月だった。祖母が保育園を運営していて、姉も保育士として働いていたことから「いつかは自分も資格を取りたいと思っていた」と話す。「産休を控えて生放送の仕事がなくなり、勉強する時間が取れるようになった」とチャンスを生かした。

試験まで3カ月、子どもの心理や食事と栄養のことなど、8科目を必死で勉強した。体調との兼ね合いで苦労も多かったというが「いま子育てに役立っていると感じるし、いつかアナウンサーの仕事にも生かせるようにしたい」と意気込む。「出産後は子育てに追われて、勉強する時間はとても取れない。産休中の勉強はいい時間の使い方だったと思う」と振り返る。

企業などで働く女性が増えるにつれ、保育ニーズは高まる一方で保育士不足から待機児童問題も無くならない。ただ、責任が重い割に給与が低い、残業が多いなど、保育業界には負のイメージがなお残る。本来、保育の仕事は子どもの成長を間近で見られる魅力的な職業。異業種からやってきた人たちが、新しい知恵で今までの働き方を変えるきっかけを作るかもしれない。

国、資格取得を後押し~取材を終えて~

保険業界で働いていた久保さん。戻るつもりはあるかとの問いに、事務のキャリアも大事だと話す一方「でも子どもが好きだから、今の仕事を続けたい」と力強く答えたのが印象的だった。

保育士になりたい人を国としてサポートする体制が整いつつある。資格試験の機会が15年から年2回となり、門戸はより開かれた。17年度の合格者数は2万人を超え、年1回の時から倍以上に。資格取得にかかった学習費は半分まで補助を受けられる。試験の2年前までさかのぼり、最大15万円が戻ってくる。

将来の夢は保育士――。そう答える女子小学生は多く、17年は「なりたい職業」の3位に入った(日本FP協会調べ)。出産・育児を機に仕事を辞めても、憧れた職業に就くことができる。セカンドキャリアの一つのあり方を見た。

(渡部加奈子、佐藤未乃里)