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奇跡のサメ写真撮影秘話 すごすぎてネットに偽物氾濫

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/4

ナショナルジオグラフィック日本版

本物かどうか疑われ、のちに実際に数々の偽写真に使われるようになるホホジロザメの写真。撮影者のトム・ペシャック氏いわく、「研究者がサメを追うのではなく、サメに追われる研究者」(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

カヤックを追う巨大なホホジロザメ――この写真を見て「合成だろう」と考える人は多いだろう。撮影したのは、ナショナル ジオグラフィックの写真家トマス・ペシャック氏だ。

めったにない瞬間をとらえた写真は話題になり、人々はこぞってペシャック氏が撮影した写真からサメを切り抜き、自分の写真に貼り付けて合成。ネットではこうした偽写真が氾濫している。本物の奇跡の1枚はどうやって撮ったものなのか。ペシャック氏にきいた。

写真に写るホホジロサメのことを、ペシャック氏はよく覚えている。15年前に、南アフリカで明るい黄色いのカヤックを漕ぐ科学者のトレイ・スノー氏の後をつけていたサメだ。

人の目を引き付ける写真というのは多くの場合がそうだが、ペシャック氏の元の写真もまた、創造性、忍耐、そして幸運な偶然が重なった結果撮影に成功したものだ。

2003年、ホワイトシャーク財団の海洋科学者マイケル・ショール氏から、南アフリカ南端の海岸付近に尋常ではない数のサメの大群がいるとの知らせを受けた。

ペシャック氏は、ショール氏とともに調査船でサメを追跡しようとしたが、エンジンの音をサメが警戒し、普段通りの行動を示さなかった。その時、ペシャック氏は購入したばかりのシーカヤックを使ってみてはどうかと思いついた。これなら船よりも静かなので、サメを脅かすことなく追跡できるかもしれない。

「私のお粗末なアイデアだったので、最初に私が試してみることになりました」

■やってきた奇跡の瞬間

作戦はうまくいった。「GPSを取り付けたカヤックで、浅瀬でもサメを追うことができ、自然な行動を観察できました。そうとわかると、自分の中にある写真家魂が頭をもたげてきました」

それから数カ月の間を調査船で過ごし、もう一度カヤックを出せる穏やかな天候を待った。

ついにその日がやってきたとき、準備は整っていた。ペシャック氏は見晴らしのいい屋根上の操舵席に体をハーネスで留め、ハーイバーイ湾(現地の言葉で『サメの入り江』という意味)でサメを追うショール氏を忍耐強く観察していた。

良いシーンなのだが、どうも今ひとつだった。

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