REIT、揺らぐ「7~9月は下落」の経験則

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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株式市場が保護貿易への懸念から低迷する一方で、J-REIT価格は順調だ。2017年末から18年6月末までの上半期に日経平均株価は2%下落したが東証REIT指数は6%上昇となり、1月下旬以来の1750ポイントを超えた水準で取引を終えた。

ただし、筆者は東証REIT指数がこのまま順調に上昇する可能性は低いと考えている。その理由として、東証REIT指数への寄与が大きい銘柄の価格が上昇していることが挙げられる。

東証REIT指数はTOPIXと同様に時価総額での加重平均を採り入れているため、時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすい。例えば時価総額が市場で最も大きい日本ビルファンド投資法人の価格は16年末から6月末までに16%近く上昇している。上昇ピッチが急であるのを考えると、こうした銘柄の上昇は一服しそうだ。

2013年以降、7~9月期は「1勝4敗」

またJ-REITの価格形成には、7~9月期(第3四半期)は下落傾向を示すというアノマリー(相場の経験則)が存在する。日銀の異次元緩和が始まった13年以降で見ると、第3四半期は「1勝4敗」となるだけでなく、他の四半期は騰落率が平均でプラスとなっている一方で第3四半期はマイナス3%となっている。

J-REITの価格形成の上で理論的に影響を与える要素としては、増資や新規上場によって投資口の供給が増加し需給が悪化することがまず挙げられる。しかし第3四半期に供給が増加するということはなく、最近では第1四半期に増資が多くなる傾向が強い。

決算や業績見通しの開示といったファンダメンタルズ(基礎的条件)が価格に影響を与えている可能性はないだろうか。しかしJ-REITの場合は、周知の通り決算期が分散しているため、第3四半期に決算を開示する銘柄(5月期から7月期までのいずれか)の影響は少ない。つまりファンダメンタルズ変化の影響が第3四半期に集中するとは考えられない。

注:投資口価格は2018年7月6日時点

あえて価格形成に与える影響を挙げるとすれば、日銀の金融緩和措置公表のタイミングであろう。13年以降で日銀が市場に影響を与える大幅な政策措置を打ち出した時期を振り返ると、異次元緩和の開始が第2四半期(13年4月)、この追加緩和が第4四半期(14年10月)、マイナス金利政策導入は第1四半期(16年1月)と、第3四半期は該当していない。しかし金融緩和策はREIT価格上昇につながるもので、第3四半期に価格が下落する要因とはならないはずだ。

このような点から見てJ-REIT価格が第3四半期に下落するということは、現状では裏付けの少ないアノマリーと考えられる。それでも無視できるものでもなく、備えは必要だろう。

また前述の通り時価総額が大きい銘柄の多くは既に価格が上昇していることから、これから投資するなら株式市場に連動して急落し出遅れ感が強いホテル系銘柄に注目したい。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年9月号の記事を再構成]

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