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塚田訓子・ECC取締役

塚田訓子・ECC取締役

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、ECC取締役の塚田訓子氏です。

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主に男性の管理職の方から、女性の部下の育て方や接し方について相談されることがよくあります。人はそれぞれ異なるので「男性」「女性」とひとくくりにするのは難しいかもしれませんが、まず私がアドバイスするのは「女性部下の話を聞く」ということです。

多くの女性は男性よりも会話を通じて相手とコミュニケーションを取ろうとする意識が強く、中には「話を聞いてもらった」というだけで問題が解決することもあります。女性本人も頭の中が整理されておらず、何が問題なのか、自分はどうしたいのかがはっきりしていない時もあります。

そんな時に話を聞きながら一緒に頭の整理をすることで、問題解決の方法が見えてくることがあるのです。なぜそう思うのか(あるいは思わないのか)、どの点が不満なのか、どこを難しいと思っているのかを根気よく聞き出すことで、色々なことがクリアになります。

まとまりのない話を聞くのは少しつらい部分もありますが、「それって結局こういうことでしょ」とか「それはこうすればいいんじゃないの」と途中で口をはさんでしまうと、相手が本当に思っていることを全部聞き出すことができません。結果的に問題が解決されないままになることもよくあることです。

私は相談を受ける時に最初の数分で、「これはまだ頭の整理ができてないな」と思ったら、まず30分は相手の話を聞くことに徹するよう心がけています。そして、30~40分過ぎた頃に、「じゃあ、Aさんは今のチームメンバーで進めるのは難しいって思っているの」と、これまでの話をまとめるような確認をします。

そのうえで、最終的に本人が答えを出してくれれば良いのですが、そうならなかった場合は複数の案を示して本人に選んでもらいます。どういうメリットを重視するのか、どういうデメリットであれば許容できるのかを本人に選ばせることで、押しつけられたのではなく、自ら決めた仕事になるわけです。

女性は往々にして男性よりも生真面目です。そのために考えすぎたり、自信がなかったりすることもあるようです。せっかく昇進のチャンスが来ても「私なんかには無理です」と断ったという話もよく聞きます。

事情があって断ることもあるとは思いますが、何となく自信がなかったり、誰かと比較してあんなふうにできないと思い込んだりすることもあります。そういった女性の部下には、まず「昇進のチャンスが来るということは、あなたのこれまでの仕事を色々な人が評価しているんだよ」と伝えてあげてください。

会社の規模の大小はありますが、誰かを昇進させる時に一人だけですべて決めることは少ないと思います。直属の上司はもちろん、その上の上司や周囲の意見などが加わって決めることが多いでしょう。それは色々な人が評価をしているということにほかなりません。

ぜひ、自信を持ってチャレンジするように後押ししてあげてください。そしてSOSが出せるように、「何かあれば相談にのるから」と言ってあげてください。女性は困った時に頼れる人がいると知れば安心して前に進めるものなのです。

つかだ・くにこ
 専業主婦を経て1995年にECCに入社。2人の娘を育てながら、センター責任者やエリアマネージャー、東日本管区長を務める。2016年から取締役。

[日経産業新聞2018年7月26日付]

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