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クラウン・カローラでも不安 トヨタ常務役員の危機感

ミッドサイズ・ヴィークル・カンパニーを率いる中嶋裕樹氏

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NIKKEI STYLE

15代目「クラウン」、12代目「カローラ」と同時に新車を発表したトヨタのミッドサイズ・ヴィークル・カンパニー。2015年のカンパニー制導入によりバーチャル分社化され、ベストセラーハイブリッドの「プリウス」まで擁するトヨタの中核ともいえる組織だが、18年1月にExecutive Vice Presidentに就任した中嶋裕樹氏は「危機感の塊です」という。盤石に見えるカンパニーのどこにリスクが潜んでいるのか? 小沢コージ氏が直撃した。

トヨタの悪いところが詰まってる?

小沢コージ(以下、小沢) ご無沙汰しております、中嶋さん。10年前にマイクロコンパクトのトヨタ「iQ」のチーフエンジニアを務めたあと、アジアのタイやインドのモーターショーでもちょくちょくお見かけした気がしますが。

中嶋裕樹氏(以下、中嶋) 当時は新興国向けの「IMV(Innovative International Multipurpose Vehicle)」を担当してまして、その後、17年まで(商用車などを扱う)CVカンパニーを担当していました。

小沢 今回のカンパニーでは何をやっているんですか?

中嶋 ミッドサイズ・ヴィークル・カンパニーで扱っているのは、われわれでいうところの「コア車」です。「カローラ」「カムリ」「クラウン」などの王道のセダン、そしてSUVでは米国がメインで今回日本にも導入する「RAV4」やその上のクラスの「ハイランダー」。つまりトヨタの中でどちらかというと「尖ってるクルマ」ではないものの、コアで台数をさばくグローバル車を扱ってます。その他プリウスや将来の環境車、つまりトヨタにとってのコアなクルマと、グローバルでのコアなクルマを扱っていくことになります。

小沢 世界で売れるクルマばかりじゃないですか! 責任は重そうですけど、商品的には盤石そうな気がしますが。

中嶋 だからこそ逆に危険ともいえるんです。ある意味、コンサバじゃないですか。チャレンジしないほうが安定的にお客様が乗り換えてくださる。だけどグローバルで見ると、市場ごとに進化の度合い、お客様の変化のスピードが全く違うわけですね。それぞれの地域地域のマスト要件はなにか。今までは「欧州で一つつくったら、それをグローバルで展開すればいいじゃないか」みたいな考え方がありましたけど、それは完全に変わりました。変革は他のカンパニーに比べると相対的に遅れている。

小沢 そのあたりが気になってました。先ほども立ち話で「トヨタにとっての黒い部分というか、悪いところが詰まってる」とドッキリすることをおっしゃっていて。

中嶋 少しきれいな言い方をさせていただくと、競争相手が明確で、生き残るための戦い方がハッキリしているレクサス、CVカンパニー、コンパクトカーカンパニーとは、かなり問題意識が違います。彼らとは違い、残ったわれわれは社外とあまりお付き合いのない内製型プロジェクトばかりで、ある意味トヨタの縮図なんです。レクサスやCVカンパニーは戦う相手が明確で、仕事の変化が早いので、カンパニー制にして意思決定を簡素化することで、より短期的に戦う道具を見つけ、収益を上げていくビジョンが立てやすい。一方、ミッドサイズはそこが逆に見えにくいし計画を立てづらい。

小沢 クラウンしかり、歴史の長い土着のクルマばかりですからね。それゆえに変えにくい部分もありそうですね。

悪いところが沈殿しやすい部署

中嶋 一方、グローバルという視点から見ると、それぞれの地域の自動車文化がどんどん進化し、お客様が求めるクルマのイメージと良いクルマのイメージが少し変わってきました。われわれが扱うグローバルモデルも今までのように北米向け一辺倒ではなく、マーケットに合わせて色を付けなくてはいけない時代になった。ベースには北米の安全要件や法規をクリアするプラットホームを使いながらも、新興国でも壊れないものでなければならない。上物ももっとお客様の嗜好に合わせるとか、カローラひとつ例に挙げても後席の広さを重視される国もあれば、運転手のドライビングプレジャーを重視する国もある。

そこで逆に先進国だけを見過ぎたり、収益を重視し過ぎたり、簡素化させ過ぎてしまうといろいろな問題にぶち当たるわけです。そこを言い訳をせずに、多様化しないと我々は変われない。もっと言うと、トヨタの縮図であるわれわれのカンパニーが変わらないと、本当の意味でカンパニー制導入が成果を上げたとはいえないわけです。

小沢 ミッドサイズ・ヴィークル・カンパニーの変革こそが本丸だと。

中嶋 他のカンパニーはすでにそれぞれの色で輝き始めています。でもわれわれはトヨタの会社規模だけが小さくなってしまったようなところがあって、グレーな部分がより黒くなってしまったり、悪いところが沈殿しやすいのです。

自分たちはどの部分で負けているのか

小沢 えらい危機感ですね。でもはた目からみるとRAV4にしろカローラにしろ一見売れていて、まだ安心できる部分もある気がしますが。もちろん今後、電動化や自動運転などの問題がやってきますが、現状、そこまで性急ではないですよね? 地域差もありますし。

中嶋 売れているとおっしゃっていただきましたが、われわれにはそのような意識はあまりありません。

中嶋 今はカローラもアジアなどでは結構厳しいです。販売台数を各国別に見ていくと、ホンダさんなどにやられているところもたくさんあります。

小沢 北米でも「シビック」は売れてますしね。

中嶋 足元の成績だけの問題ではないのです。収益管理というのは4年後、5年後の収益を予想することです。近い将来、CAFE(企業内平均燃費)規制が始まると、利益は出るけど燃費の悪いクルマが売れなくなったりします。具体的にはトラック系や大型SUVなんかがそうで、最悪台数が半分くらいになることも予想されます。

小沢 全然、安心なんかできないと。

中嶋 価格の付け方にしても、お金がかかった分、これだけの金額になりましたといっても、競合がもっと下げてくる場合があります。われわれの問題は何もかもが積み上げ方式になっている部分で、競合とはやり方が違ってたりします。またCAFE規制が始まっても、利益は出るけど燃費の悪いCVカンパニーのトラック系の分、われわれのカンパニーのハイブリッド車が売れれば、企業内平均燃費は下がって問題はなくなります。つまりCVカンパニーが売る車で利益を出すために、われわれが努力するという構図も出てきます。

このように戦い方一つをとっても、過去のように個々で頑張れば良いという前提ではなくなり、チームで戦わなければいけなくなってきました。

小沢 戦い方が複雑になってきたと。

中嶋 一足飛びに勝てる手法があるわけではなくて、それぞれ努力していくしかないんです。大事なことは、どの部分で負けているか、どの部分でお客様の認知をまだ得られていないかをきちんと知るということです。

カンパニー制と言いながらも、最前線で働いている人たちの意識が完全に変わったとは言えません。まだまだ壁はありますし、同時にそれを取り払うための努力をしています。

一番大事なのは、意思決定を早くするとか収益管理をすること以上に、意識改革だと思います。トヨタで働いている人間、特に我々世代があまりにも成功体験だけでここまで来ている。会社の成長とともに自分の出世があって、気が付くと給料も上がっていたのです。危機感はまだまだ足りないと思います。

ハイラックスの荷台が捨てられる理由

小沢 それは中嶋さんが海外を回ったから分かったというのもありますよね。僕自身、インドでトヨタの鳴り物入りのコンパクトカー、「エティオス」が予想より売れてないと聞いてショックを受けました。あの最強のトヨタ方式がインドじゃ一部通じない。特に現地の意見であり本音を引き出すのが難しいようで。

中嶋 CVカンパニーでは「ご用聞き」という言葉が使われています。「技術営業」という言葉を聞かれたことはないですか。

小沢 なんとなく……。

中嶋 商社さんなども含めて技術屋出身の方が営業部隊にいて、そういう存在が現地でなにか変化やトラブルがあったときに、それを新しい需要につなげることができるのです。例えばタイに行ったときですが、空き地にピックアップ・トラックの「ハイラックス」の荷台が大量に捨てられているのに驚きました。

小沢 ええ? それも新品とか?

中嶋 新品です。聞けばここ最近タイではコンビニが数千店単位で増えていて、冷蔵配送が当たり前になっている。当日朝に冷たい食材を運ぶので、向こうの足であり仕事道具でもあるトラックには冷蔵室が絶対に必要。そのために買ったとたん荷台を捨てて冷蔵庫に付け替えるのです。

小沢 なんかすごくもったいない。

中嶋 そうでしょう! ウチはそこが読めてませんでしたが、いすゞさんはしっかり食い込んでいて、1年に何度も現地の自動車架装業者向けに説明会を開いているし、それどころか冷蔵庫のコンプレッサーをベルト駆動するためのパワーアウトプットまで付けていたんです。

小沢 負けた感、ありますね。

中嶋 頑張らないといけません。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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