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アトピー新薬の効果高いが… 自己負担、年60万円も 未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線(2)

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2018/9/7

近い将来、自己注射も認められる可能性が高い。(写真はイメージ、薬剤はデュピクセントではありません)(c) pejo-123RF

「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」1本の薬価は8万1640円。初回は2本打つので、3割自己負担の場合でも治療費は約5万円。2回目以降は2週ごとに1本打つので約2万5000円。年間で60万円ほどの自己負担となる(高額療養費制度が適用されると、自己負担額はこれより減る)。

医療機関に注射に行く回数については、今後自己注射が認められる可能性があるので、負担は減っていきそうだ。乾癬などの別な慢性皮膚疾患の治療薬にも生物学的製剤(抗体医薬)が用いられているが、発売後1年ほどで自己注射が認められると同時に3カ月処方が可能になっている。

■他のアレルギー疾患に対する臨床試験も開始

デュピルマブは、リジェネロンとサノフィによって共同開発され、2017年3月に米国で、10月に欧州(EU)で先行して承認されている。とくに米国では「画期的治療薬」として指定され、通常1年かかる審査が6カ月で承認に至っている。現在、北米ではリジェネロンとサノフィの両者、日本ではサノフィが単独で販売している。18年の1~3月期だけで、世界の売上高は1億700万ユーロ(約128億円)、そのうち北米は9500万ユーロ(約113億円)と大型商品へと育っている。

デュピルマブはアトピー性皮膚炎以外のアレルギー疾患の治療薬としても開発が進められている。田中氏は「IL-4とIL-13をターゲットとした抗体医薬なので、その作用が期待されアンメット・メディカル・ニーズがある疾病で貢献できるものがあればしていく」と話している。すでに喘息の治療薬としての申請も行っている。

アトピー性皮膚炎をはじめ食物アレルギー、喘息、花粉症など、現在、日本人の2人に1人は何らかのアレルギー疾患にかかっていると考えられており、疾病による経済的、社会的損失は莫大なものになりつつある。抗体医薬の進歩がアレルギー疾患対策に大きく貢献することを期待したい。

(ライター 荒川直樹)

[日経Gooday2018年7月23日付記事を再構成]

佐伯秀久さん
1991年東京大学医学部卒業。同大学医学部附属病院皮膚科、関東労災病院皮膚科などを経て、97年米国国立衛生研究所(NIH)皮膚科に留学。2000年東京大学医学部皮膚科助手、01年同講師、10年東京慈恵会医科大学皮膚科講師。11年同大学皮膚科准教授となり、14年より現職。専門領域は、皮膚免疫、アトピー性皮膚炎、乾癬。
藤井省吾(聞き手・企画)
日経BP総研副所長。メディカル・ヘルスラボ所長。1989年東京大学農学部卒業、91年同大学院農学系研究科修士了、農学修士。91年日経BP社入社。医療雑誌『日経メディカル』記者、健康雑誌『日経ヘルス』副編集長を経て、2008年~13年『日経ヘルス』編集長。14年~17年ビズライフ局長・発行人。『日経Gooday』前発行人。18年から現職。

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