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「投信はもうからない」の真偽 保有者の損益を探る QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2018/8/1

写真はイメージ=123RF

投資信託は本当にもうからないのか――。銀行29行を通じて投信を購入した顧客の半数が損失を抱えていたとの金融庁の調査が話題となっている。しかしながら、これはあくまで今年3月末時点での数字。たまたまタイミングが悪いだけだったかもしれない。実際に調べてみると、投信の損益は計測時点で大きくぶれることが分かった。

今回の調査について、業界からは「3月時点だけの集計結果を示すのはどうなのか」といった声も出ているようだ。その真偽を探るため、投信保有者全体の平均損益(平均リターン)の状況を過去に遡って集計した。

■投信保有者全員の平均購入単価を算出

個々の投信は不特定多数の人が、おのおの違う口数をランダムなタイミングで売買するが、保有者全員が設定以降これまでに買い付けた基準価格の「平均購入単価」は日々の基準価格や設定額、解約額などを基に推計することが可能だ(ただし、過去に解約した人の分は含まれない)。

平均購入単価が時系列で分かれば、基準価格と比較することで、それぞれの時点での投信保有者全員の損益状況を推定できる。基準価格が平均購入単価を上回っていれば、保有者全体の損益は含み益の状態、逆に下回っていれば含み損(元本割れ)の状況を示す。ちなみに今回算出した平均損益は、その時点で投信を保有している全員の平均的な損益を表すもので、一定期間内での投信保有者の平均的な損益を年率換算して示す「インベスターリターン」と呼ばれる指標とは異なる。

対象ファンドは一般購入可能なファンドとし、純資産残高10億円以上などの条件で絞り込んだ結果、720本余り(6月末時点)が対象となった。損益状況を遡ると、元本割れ本数は3月末時点では半分以上にのぼったが、昨年末時点では3割を下回っていた(グラフA)。投信の損益は市場動向や購入タイミングによって大きく左右されるためだ。

■平均損益率は計測時点で大きくぶれる

昨年末時点より3月末時点で元本割れが多かったのは、年初からの米長期金利上昇をきっかけにした世界的な市場の動揺に影響されたのが理由とみられる。元本割れは英国の欧州連合(EU)離脱決定で金融市場が動揺した2016年半ばには7割を超していた。14年末は2割程度と低く、08年のリーマン・ショック後はしばらく7割から9割超が元本割れしていた。いずれにしても、平均損益率は計測時点で大きくぶれることが分かる。

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