気がつけばキャッシュレス社会 現金お断りの店も決済手数料、引き下げ進む

日経ヴェリタス

ATM、手数料上げ相次ぐ

ただ、こうしたインフラを維持するコストも莫大だ。ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、ATMの管理や現金輸送にかかるコストは年2兆円にのぼる。マイナス金利下で収益悪化に苦しむ銀行にとって、こうした負担は次第に無視できなくなっている。

そこで銀行の中には、手数料を引き上げる動きも広がってきた。新生銀行は10月7日から、これまで無料だったコンビニなど提携ATMでの引き出し手数料を有料化し、1回あたり108円とする。「ATM無料」を売りに支持を集めてきたが、収益環境が悪化し有料化に追い込まれた。

給料日の昼休みにはATMコーナーに長い列ができた(東京都千代田区)

ゆうちょ銀行でも、現在は月3回までATMからの送金手数料を無料としているが、10月以降は月1回までとし、2回目以降は123円とする。来年4月にはネット通販などの代金振り込みに使う「通常払い込み」の手数料を現在の80~340円から150~410円に引き上げる。みずほ銀行や三菱UFJ銀行でも、今年から窓口での両替手数料を引き上げている。

「インフラ」整備も課題

個人にとっては、ATMで現金を引き出すためにかかる時間も損失だ。25日の給料日、記者が昼休みに東京・神田のATMコーナーに並ぶと、現金を引き出すまでに6分50秒かかった。ATMにわざわざ立ち寄るのも手間で、仕事や家事に追われる人ほどキャッシュレス化の恩恵は大きいといえる。

個人経営の飲食店などでは、キャッシュレスに対応していない店舗がまだまだ多い。インフラが整っていなければ、キャッシュレス決済も浸透しない。LINEとヤフーが主導する手数料の引き下げ競争が、現金社会ニッポンをどこまで変えるのか注目される。

(齋藤正弘、逸見純也)

「+(タス)ヴェリ」は週刊投資金融情報紙「日経ヴェリタス」編集部による連載コーナーです。タスヴェリはNIKKEI STYLEでだけ読めるスペシャル企画で、ミレニアル世代と呼ばれる20~30代の価値観やライフスタイルを、同年代の記者が取材し幅広くご紹介します。更新は不定期です。
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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