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肉の都フィレンツェ がっつりビステッカで猛暑に勝つ

イタリア食紀行(下)

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NIKKEI STYLE

イタリア中部・トスカーナ州の郷土料理といえば、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ。良質な赤身の肉を炭火で焼いたTボーンステーキである。肉料理が有名なのは古代ローマ時代から高度な農業や肉食もしたエトルリア人が暮らした地であり、今もイタリアを代表する高級ブランド牛の産地だからに違いない。シンプルに焼くだけの料理だが、その分、モノをいうのが素材の味。「花の都」といわれる州都フィレンツェで、名物料理を堪能することにした。

日本と違いイタリアは湿度が低く、カラッとしているが、夏場の日差しの厳しさは変わらない。スタミナを保ち、夏バテを防ぐためにも、がっつりと肉を食すに限る。

そこで訪ねたのが今、地元で話題の店の一つ、トラットリア「ダッロステ(DALL'OSTE)」。フィレンツェの街のシンボル、ドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)に程近い路地裏にあった。フィレンツェの玄関口、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅近くにすでにある店の2号店として約1年半前にオープンした。現在はフィレンツェに3号店までできた新進気鋭のステーキハウスである。

とにかくこの店は客の想像力をかきたてる演出力にたけている。まずは店頭に置かれた巨大なナタのようなナイフのオブジェ。オブジェの刃が放つメタリックな輝きが印象的でぎょっとする。店内に一歩足を踏み込むと、今度は巨大な肉の塊が目に飛び込んでくる。入り口付近の客席横に広がる冷蔵ショーケースには塊がいくつもぶら下がり、迫力満点。食す前からすでに気分が高揚するのが分かる。

イタリアではアンティパスト(前菜)、プリモ(パスタやリゾット、スープ)、セコンド(日本でいうメーン)の順にメニューが記載されているのが一般的だが、この店は違う。まず初めにくるのがメーンのビステッカ。次に地元の別の伝統料理が続き、最後がプリモと順番がさかさまになっている。「この店のコンセプトは肉文化を伝えること。肉に特化したレストランだからです」。店のオーナー、アントニオ・ベルペリオさんの説明を聞いて、納得した。

メニューに並ぶ肉の種類も実に豊富で多彩だ。数ある中から厳選した12種類をセレクトしている。イタリア産最高級ブランドのキアナ牛はもちろんのこと、ほかにもマレンマーナ、マルキジャーナやオーストラリア産の和牛、ブラックアンガスや神戸牛まである。イタリア産牛肉のほかスペインやポーランド、クロアチアなどから輸入した肉もあり、原産地も実にグローバルだ。

入荷後、店内の冷蔵ショーケースで25~30日間、熟成させたものを提供している。熟成が進むと肉の表面が黒ずみ、その分、うまみ成分であるアミノ酸が増す。熟成の技や一手間加え、味に付加価値をつけるのが、この店の自慢で、そこに引かれて多くの人がやってくるのだろう。

肉の種類やサシ(脂身)の入り具合で、当然ながら味わいが違う。「一般にビステッカに向いている肉は軟らかく繊細なスコットーナと呼ばれる非経産牛(出産を経験していない牛)。形状もいいからね。逆に脂身が強いのがブラックアンガス。キアナ牛は両者を足して二で割ったような味わいかな」とアントニオさんが解説してくれた。客は自分の好みとお財布の中身に応じ、どの肉でビステッカを注文するかやボリューム(量)、焼き加減を選択すればいい。

その加減は人それぞれとはいえ、ビステッカはやはりレアを注文するのがおすすめ、とアントニオさん。この店のレアの焼き方は塩とコショウをまぶした肉の片面をグリル網でまず5~6分焼く。熱源は炭火などでガスではない。表面がこんがりと色づいたら、今度は肉を立てて、しばらく放置。その後、もう片面を5~6分焼いて完了。その後、石の板に載せて客席へと運ぶ。

厨房をのぞかせてもらった。鉄板の上にオレンジ色の炎が豪快に立ち上る中、スタッフが金属製のヘラで肉の塊を前後左右に動かしながら、手際よく火をくぐらせていた。

ジュージューと脂がはじける音と、こんがりとおいしそうな香りを漂わせながら、ビステッカが目の前に運ばれてきた。肉の表面には鉄板の編み目が縦じま状にこんがりとつき、内部は肉の赤さが残る。アントニオさんによれば、この店のミディアムが日本のレアに近い焼き方とか。

今回、お願いした焼き加減はミディアムとレアの中間、ミディアムレア。それでこの赤さだったから、レアならどんだけ、と思わずにいられなかった。

石板の上でジュージュー音をたてる巨大な肉の塊をナイフとフォークでカットし、まずはそのまま口に運んだ。表面は適度な固さだったが、肉の内部はナイフの刃がすーっと入るほどに軟らかい。シンプルな味付けなので、素材の味がストレートに五感を直接刺激する。

「お好みでオリーブオイルや軽く塩、コショウなどをまぶしてもいい」と教えられ、それに従ってみた。卓上には地元トスカーナ産など複数のオリーブオイルやイタリア産、英国産の塩などが並ぶ。アントニオさんは地元産の開栓前のオイルを目の前で開けてくれた。オイルを肉の上にたらりとたらし、イタリア産の塩とコショウを少しまぶして、いただく。地産地消だ。

かみしめるほどにこんがりと焼けた肉の香ばしさと、熟成された肉からしみ出すジューシーなうま味。さらにフレッシュなオリーブオイルが絡み、口の中で溶け合う。素材の味にさらにオリーブの香りが重なり合って、まさに絶妙なハーモニーだ。

余談だが、イタリアでは今、オリーブオイルの注ぎ口が改良されて、オイルの継ぎ足しができない構造に変わったそうだ。それまではオイルの口から継ぎ足しが可能だったため瓶とその中身が違う「偽装」行為が一部で横行していたらしいが、その不正を防止するための措置という。

それはさておき、今回試食させてもらった肉(非経産牛)にはサシが適度に入っており、軟らかく、うまい。ビステッカはTボーンステーキだから、骨の左右にわかれるヒレとサーロインが同時に楽しめるのも魅力。個人的にはヒレが好きだが、部位によってフィレとサーロインの比率が違うのはよくある話。それは出てきた時のお楽しみ、ということになる。

「骨付き肉(Tボーン)のため、2人で食べるなら1.5キロを注文すると十分ご満足いただける量」とアントニオさんはいう。だが、それだけで満腹になってしまう恐れがある。肉を食べるなら、一緒に野菜も、といきたいので2人で1キロ程度がちょうどいい量かな、と思った。

ワイン王国イタリアだから、やはり赤ワインとのマリアージュも楽しみたい。アントニオさんに尋ねると、「ビステッカと合わすなら、やはり地元トスカーナ産のブルネロが一番だね」と教えてくれた。フィレンツェを訪ねる機会があれば、ビステッカに加えてぜひ赤ワインを試してほしい。

(堀威彦)

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