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子供も引き込むクラシック 三ツ橋敬子指揮東京フィル

2018/7/28

指揮者の三ツ橋敬子さんが高齢者や子供にクラシック音楽を広める活動を続けている。中心演目は誰もが一度は聴いたことのある曲。夏休みシーズンの今、次世代の音楽ファンを育てるための子供向け演奏会にも力を注ぐ。超名曲をいかに新鮮に聴かせるか。東京フィルハーモニー交響楽団を指揮した7月の「平日の午後のコンサート。」を通じてクラシック入門のための公演術を探った。

「『結婚行進曲』は有名じゃないところを頑張りたい」。7月5日、東京フィルとのリハーサルで、三ツ橋さんは指揮台から楽団員に向かってこう方針を語りかけた。メンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」の「結婚行進曲」は結婚式で頻繁にかかる超名曲。タタタターンというリズムで始まるこの曲を知らない人はほとんどいない。しかし「有名ではない中間部がはさまっている。そこから音楽が展開し、またあの有名なメロディーが出てくるまでの物語をみんなで共有したい」と三ツ橋さんは話す。

名曲の有名ではないところを特に頑張らせる指揮

リハーサルではその中間部を繰り返し練習した。伴奏形のリズムの刻みが続く中で、独特の跳躍を持つ旋律が流れていく。「メンデルスゾーンらしい曲だと改めて思う。『結婚行進曲』の中間部を通じてメンデルスゾーンという作曲家を再認識することができる」。有名ではない部分を含め「結婚行進曲」が初めて聴く曲のように新鮮に鳴り響いてくる。

リハーサルの翌日、7月6日に東京オペラシティコンサートホールで本公演「平日の午後のコンサート。敬子、七夕の夜へ」が開かれた。平日金曜日の午後2時に開演し、三ツ橋さんによる楽曲解説のトークも入るというユニークな演奏会だ。ビジネスパーソンにとっては勤務時間の真っただ中。誰が聴きに来られるのかといぶかりながら会場に入ってみると、約1600席の大ホールは意外にも満席だった。

「会社を定年退職した夫婦をはじめ、高齢のお客さんを中心に毎回満員になる」と「平日の午後のコンサート。」シリーズを主催する東京フィルの関係者は胸を張る。2018年度は指揮者を替えながら4回を予定し、10月1日には渡辺一正氏、19年1月8日には小林研一郎氏の指揮で開く。今回指揮した三ツ橋さんは「今までクラシックコンサートは平日午後の早い時間帯にはほとんどなかった。仕事をリタイアされた方々に向けて入門編としての演奏会を開くのは、音楽ファンを増やすためにとても大切なことだと思う」と指摘する。

時間に余裕のできた高齢者がクラシック音楽を趣味にしようと思い立っても、何から聴いていいのか分からない。三ツ橋さんの「平日の午後のコンサート。」ではそうした客層にぴったりの曲が並んだ。1曲目はヘンデルの組曲「水上の音楽」の「アレグロ・デチーソ」。曲名を知らなくても、聴けば「あれか」とすぐ分かる。

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