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アトピー性皮膚炎に10年ぶりの新薬 その実力は? 未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線(1)

日経Gooday

2018/8/19

写真はイメージ=(c)teeramet thanomkiat-123RF

医療分野の満たされないニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)についての治療分野の革新に焦点を当てていく本シリーズ。初回は、アトピー性皮膚炎の治療に登場した10年ぶりの新薬の実力に迫る。

大人の中等度から重度のアトピー性皮膚炎では、ステロイド軟膏を丁寧に塗っていても、症状を抑え込みきれずに、皮膚にはかゆみの強いしこり(痒疹結節)や、かきむしってごわごわになった部分(苔癬化)が増えてくる人が一部にいる。強いかゆみで、眠りが浅い、集中できないなど生活の質(QOL)も低下する。これらの人を対象として、月に2回の注射で大幅に症状を改善させる新薬が登場した。

アトピー性皮膚炎では、ステロイド外用剤などの塗り薬を適切に使うことが標準治療となっている。標準治療でなかなか生活の質(QOL)が改善しない中等度~重度の治療法として期待され続けてきたのは、標準治療にプラスできる全身療法だった。

このたびアトピー性皮膚炎の新たな全身療法(注射剤)として登場したのが「デュピルマブ」(商品名:デュピクセント、発売:サノフィ)。2018年1月に製造販売承認を受け、同4月より一般向けにも診療が開始された。デュピルマブは、アトピー性皮膚炎治療に何をもたらすのか。臨床試験にも携わった、日本医科大学大学院医学研究科皮膚粘膜病態学分野大学院教授の佐伯秀久氏に話を聞いた。

「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」

■約7割の患者で、皮膚の状態が大幅に改善

――新薬の登場で、アトピー性皮膚炎の治療はどのように変わるのですか?

デュピルマブは、既存の治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎の治療薬として、世界で初めて承認された抗体医薬[注1]です。臨床試験では、従来の外用剤とプラセボ(偽薬)を用いた群と、従来の外用剤とデュピルマブを併用した群の比較を行っています。皮膚の状態を示す客観的なスケール(EASI)が75%以上改善した患者の割合は、前者は23.2%であったのに対して、後者は68.9%で、明らかに高い効果がありました。

[注1] 抗体医薬:病気の原因物質に対する「抗体」を、バイオ技術を用いて人工的に作り出し、体内に入れて病気の予防や治療を行う薬のこと(参考:日本製薬工業協会ホームページ)

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