吹き出し形・分類が楽々…技ありノート&メモ大集合
進化を続ける文房具。とりわけ今年は新製品が多く、中でも好調なのが、ノートや紙製品だ。2018年7月4日から6日に開催された日本最大級の文具関係の商談会「国際文具・紙製品」展、通称「ISOT」で見つけた、老舗のロングセラーから新進メーカーのアイデアあふれる製品まで面白いノート・紙製品を紹介しよう。
役割が増えた付せん
デザイン性も実用性も高い紙製品のブランド「カミテリア」の新作は、インデックスと付せんを一体化したような「カミテリア edge+on」。手帳やノート、書籍などのページの端に付けて使う。
edge+onは、ページの端に挟むようにして貼り付けると、ページから少しだけはみ出すインデックスと、ページ内に書き込める付せんになるというもの。シンプルな仕組みだがかなり実用的だ。
角用と途中用が用意されているから、並べて貼ればタブのようにも使えるし、角用はしおりのようにも使える。ひと言メモしておくためのスペースにも使えるし、クリアフォルダーに入れておく書類のインデックス代わりにすることも可能。ページの端にインデックスをまっすぐ貼るのは結構難しいのだが、これはページに差し込むだけなので、誰でも簡単にまっすぐ貼れるのがうれしい。
他に、くるりと巻くとペーパークラフトのようになる立体型メモ「カミテリア クルル」の新作の試作も展示されていた。久々の浮世絵シリーズとなったクルルの新作は、歌川広重の「名所江戸百景」から、生き物が登場する3点をセレクト。猫、亀、鷹が登場する名品が見事に立体化されていた。秋の発売が楽しみだ。
主役になった「吹き出し」
スガイワールドの「吹き出しノート」は、その名の通り、マンガのセリフが書かれている吹き出しの形をしたノート。その形状だけでもかわいいが、このノートの使い方はもう少し現代的。
このノートに何か言いたいことを書いて、自分の顔の横に持って写真を撮ったり、食べた料理の横に、その料理の名前などを書いておいて写真に撮ったり。つまり、写真のキャプションを吹き出しの形で写真の中に写し込んでしまおうというノートなのだ。
しっかりした厚手の紙を使っているので、油性フェルトペンで書いても裏抜けしないし、手で持ってもたわみにくいので、写真に撮ったときも、ピンと張った状態で、しっかりと文字が読める。インスタグラムなどのSNSに写真を投稿する際、文字を打ち込むのも、写真に直接文字などを描くのも悪くないが、吹き出しにしっかりと太字のフェルトペンなどで書くほうが目立つし、読みやすいし、何と言っても写真一枚で完結するのがいい。
リングノートになっているので、ノートごと持って使ったり、切り取って1枚ずつ使うのも良い。ほぼB5サイズなので持ち歩きもラク。もちろん、普通にメモ帳としても使えるし、小物の撮影の背景にも使える。ネタ物なのだが実用性も高いのだ。
分類が苦手な人も達人になれそうなノート
天野製作所の「ソーティングノート」は、ノートとファイルがセットになった、新しい形のバインダーノート。ノート部分はA5サイズの横使いリングノート。その短辺側にはバインダーにとじるための穴が開けられていて、書いた後はA4サイズのバインダーにとじていく。
バインダーはノートを上下2枚とじることができるので、上と下でノートを並べて見ることもできる。ノートには分類用のタイトル欄やインデックス欄が用意されていて、ファイリングもしやすくなっているなど、学生にもビジネスマンにも使えそうなノートだ。
複数年の日記を1冊に書く、いわゆる連用手帳や連用日記というものがある。3年手帳や5年手帳、中には100年手帳などもあるが、佐々木印刷は、その連用手帳を農家の方からの要望で最初に作ったというメーカーだ。
3年用の日記で、作業名や収支の覚書欄などもある。一目で前年や前々年の同じ時期に作物がどういう様子なのかが分かる連用日記は、確かに農作業向きだ。当時の農業用3年日記はB5判横長のハードカバーで、そのスタイルの3年日記は今もラインアップに入っている。また、それを現代風にリデザインしたB5横長のソフトカバータイプもあって、これがなかなか使いやすそうなのだ。
連用日記は基本的にあまり持ち歩くことはないので、サイズが大きくなるのは構わない。その上で、別の年、同じ日が簡単に見比べられるのがポイントなのだから、1日分のスペースが縦に長いよりも、横に長いほうが見比べやすいのだ。
佐々木印刷のブースでは、他に、磁石で金属面にくっつくメモ帳「マグメモ」が面白かった。裏表紙がマグネットになっていて、冷蔵庫などにぴたりと貼り付く。ページをめくると表紙の裏はホワイトボードになっていて、伝言メモ的に使えるのも気が利いている。メモ帳はミシン目が入っていて簡単に1枚ずつ切り取れるし、リングはバインダーになっているからリフィルの交換も可能だ。
簡単に立つ、使い方が広がるダイアリー
デスクカレンダーをダイアリーとして使ったり、ダイアリーだけれどデスクカレンダーにもなるスタイルは、ここ数年の流行。そのスタイルを長く提案し続けているリヒトラブの製品は、やはり一味違う。
まずうまいのは、その立て方。表紙の中央端にエラストマー樹脂製のストッパーが付いているので、ちょっと開いて立てるだけで、デスクカレンダーになるのだ。この気軽さなら、デスクに戻ってきたときに立てようという気になる。また、見開き1カ月タイプなのだが、片側が通常のブロック型マンスリー、もう片方は進捗管理に便利なガントチャートになっている。しかも、ガントチャートは上下、どちらからも使える仕様になっているから、デスクカレンダーとして使っていても違和感なく書き込める。
さらに、リングが開くので、中のカレンダーを自在に差し替えることが可能。必要な月だけを持ち歩くといったこともできるわけだ。外観も普通のリングノートのように見えるので持ち歩きやすい。A5サイズとB6サイズの2サイズが用意されている。
人気文具がユニークに進化
今回のISOTで目に留まったのは、定番文具、人気文具がちょっと便利に、ユニークになっていることだ。地味ながら楽しい製品が多かった。
まずは、キングジムの「ブギーボード」の新製品、「ブギーボード BB-11」。なんと画面が半透明なのだ。なので、背面にさまざまなテンプレートを敷いて、その上で文字や絵を描くことができる。しかし、それ以上に画面が半透明というのが、実物を見ると思った以上に未来感があってカッコ良かったのだ。
続いて、ゼブラの「マッキーワーク」。マッキーに段ボールオープナーが付いた、それだけの製品だが、段ボール箱とオープナーとマッキーはセットのようなものなので、マッキーにオープナーが付いているというだけでとても便利なのだ。8月下旬から販売される。
最後に、呉竹の「万年毛筆 夢銀河 鹿角」も紹介しておきたい。万年筆のような軸の中に筆ペンを仕込んだ呉竹のオリジナル製品「万年毛筆」。こちらはその軸を鹿角で作ったバージョン。奈良にある呉竹だからこそできた、奈良の鹿の角を丁寧に加工した軸の筆ペンだ。
(ライター 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2018年7月13日付の記事を再構成]
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