コンセンサス重視の背景には「幹部が一枚岩にならなければ、厳しい環境を乗り切る改革は進められない」との思いがある。18年に大学に進学した学生は約120万人。それに対し、17年の出生数は94万人と20万人も少ない。「全国には約700の私立大学があるが、すでに約4割が定員割れ。大変な時代が目前に迫っているのに、ピンときていない先生方がまだ多い」

「英語教育なら成城」といわれるレベルに

「これまでにない発想で物事を変えていく人材を育てる」と話す

経営執行会議ではこうした危機意識を率直にぶつける。それに対し、学園長や校長も持論を返してくるため、議論はいつも白熱するという。本音をぶつけ合うことで、お互いの理解も徐々に深まり、渡氏の改革方針についても「ようやく共有できるようになってきた」。かつては理事会で発言する教授はほとんどいなかったが、最近は改革の方向性などについて積極的に意見が出るようになったという。

では次の100年に向け、どんな改革を進めようとしているのか。最も力を入れるのが時代の変化に即した人材の育成だ。渡氏が長年の企業経営の経験を通じて重視すべきだと考えるのは、既存の概念にとらわれず、これまでにない発想で物事を変えていく力。すなわち「ビジョン構築力」「行動力」そして「国際社会で羽ばたくことができる力」を備えた人材をつくることだ。

そのために掲げるのが、「理数系教育」「情操・教養教育」「国際教育」の3つの柱だ。理数系教育とは、観察する力と論理的な思考力を養うことを指す。成城大の4学部はいずれも文系だが、「文理融合の時代には理系的センスで物事を考える力を養う必要がある」(油井学園長)。外部から専門家を招き、年内をメドに具体的なカリキュラムを策定する。

情操・教養教育は、学園の創立者である沢柳政太郎氏が唱えた「独立独行」の精神を受け継ぎ、自らの道を自ら切り開く人材を育てる。成城は指揮者の小澤征爾氏、歌手の森山良子氏・直太朗氏の親子ら、個性豊かな才能を輩出してきた。特に幼稚園や小中学校での音楽や劇、読書会といった活動に一段と力を入れる。

特徴的なのが最後の国際教育。英語力の向上が最大の目的で、幼稚園から大学までワンキャンパスに集まっている利点を生かし、一貫教育プログラムを実施していく。各学年での学習到達目標「CAN―DOリスト」を作成し、高校2年終了時には英検2級以上の語学力を身に付けさせる。「英語教育なら成城といわれるレベルを目指す」と渡氏の目標は明確だ。

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教職員にも人事評価制度を導入へ