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積立王子のヤング投資入門

顧客本位度を測る共通KPI 投信選びの道しるべに 積立王子のヤング投資入門(16)

2018/7/26

中野さんは「各金融機関が共通KPIを公表すれば、投信への取り組み方を同じモノサシで比較できるようになる」とみる

 金融庁は都銀や地銀計29行を対象に2018年3月末時点での顧客の投資信託における運用損益を調べ、「全体の半分近くの人が損失を抱えている」という結果を公表しました。

 2013年3月末から2018年3月末までの5年間の日経平均株価の年率リターンは11.6%、米国株は11.0%、世界株7.0%でした。「普通に長期投資をしていれば、お金が育つ好環境だったのに」とヤング投資家のみなさんは不思議に思ったことでしょう。

■金融庁「金融機関、顧客の損益に無関心」

 金融庁のある幹部は「金融機関のトップは自社の手数料収入は気にしても、顧客の損益には見向きもしてこなかった」と批判しています。その通りだと言わざるを得ません。銀行や証券会社は手数料収入を優先し、顧客の短期的な売買を助長する「乗り換え営業」を繰り広げてきました。

 調査からは、多くの顧客はここ数年の上昇相場での利益を確定するためにとっとと売却し、損失を抱えた人ばかりが多く残っている状況が推察されます。これは、販売金融機関が本来の長期投資を促していないからです。同じ調査では、投信を長期保有するほど投資収益を得やすい傾向がある、運用コストにあたる信託報酬の高さが運用収益とは必ずしも結び付かないといったことも分かっています。

 金融庁は単に調査をしただけではありません。金融機関に「顧客本位の業務運営」を強く求めるにあたり、その実践と成果を分かりやすく示す共通指標「共通KPI」をつくりました。これをベースに運用損益別で見た顧客の割合と商品別のコストとリターン、及び同リスクとリターンを精査して公表するよう促したのです。

■インベスターリターン、急速に重視される

 参加している投資家が全体としてどのような損益になっているのかをファンドごとに示す指標を「インベスターリターン」といいます。これは金融庁が示す共通KPIと重なるデータであり、今後、急速に重視される指標となるでしょう。文字通り、投資家全員の平均的なリターンがファンドのリターン(基準価額の騰落率)に対してどれくらい上回っているか(下回っているか)をつまびらかにする数値です。

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