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長く続く胃もたれ・胃痛 どんな薬を飲めばいい? 機能性ディスペプシア(下)

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2018/8/27

写真はイメージ=PIXTA
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内視鏡検査で異常はないのにもかかわらず、胃もたれや胃痛などの不調がずっと続いている……。そんな胃の病気である機能性ディスペプシア(FD)は、ストレス対策、生活改善、薬による治療の3つの対策で治せるという。2回目の「胃の長引く不調 ゆっくり食べ・腹八分目でいたわる」に引き続き、3回目は、各治療薬の使い分けについて見ていこう。

◇  ◇  ◇

ストレス対策や生活習慣の改善に加え、薬による治療も有効だ。市販の胃薬を試す人も多いだろうが、1、2週間のんでも症状がよくならない場合は、医療機関で薬を処方してもらおう。

(図:三弓素青)

「症状に応じ、まずは胃酸の分泌を抑える薬や、胃の運動をよくする薬を処方する。両者を併用することも多い」と兵庫医科大学内科学消化管科の三輪洋人教授。

胃酸に過敏で、胃の痛みや灼熱感がある人には、胃酸分泌抑制薬の「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」や「H2ブロッカー」が用いられる。

また早期満腹感や胃もたれがある人には、消化管運動機能改善薬「アコチアミド」(商品名アコファイド)が処方される。FD治療薬として日本で初めて承認された成分だ。胃の動きをよくすることで、食べたときの胃上部の膨らみや消化したものの排出を促す。

漢方も頼りになる。代表的なのは、六君子湯(りっくんしとう)と半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)。「FDに一番多く使われている漢方が、六君子湯。体力のない人の胃もたれや食欲不振、みぞおちの痛みなどに効く」と北里大学東洋医学総合研究所の及川哲郎副所長。FD患者を対象にした臨床試験では、みぞおちの痛みの改善効果が報告されている。

(図:三弓素青、グラフ:増田真一)

半夏厚朴湯は、ストレスがあって胃が張る人に効果的。「FDの人はお腹にガスがたまりやすいが、服用によりガス腹の改善が認められた」と及川副所長。他にも安中散(あんちゅうさん)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などもよく処方される。

また強いストレスや気分の落ち込みがあれば、抗不安薬や抗うつ薬が処方されることもある。

「FDの治療で大事なのは、命にかかわる病気ではないと理解すること」と三輪教授。医師に「大丈夫」と言われるだけで安心し、症状が改善する人も。信頼できる医師に診てもらおう。

■ピロリ菌を除菌すれば症状が改善することも

胃の不調が続く人は、内視鏡検査に加え、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染しているかどうかも調べておくといい。血液検査で簡単にわかる。

ピロリ菌は胃粘膜に生息する細菌で、アンモニアを分泌して胃酸から身を守る。乳幼児期に飲み水や食べ物から感染する。長くすみつくと胃粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃潰瘍や胃がんだけでなく、FDを招くリスクも高まる。「感染している人は除菌治療をすると、FDの改善が期待できる」と三輪教授。ピロリ菌対策も忘れずに行おう。

三輪洋人さん
兵庫医科大学(兵庫県西宮市)内科学消化管科教授。1982年鹿児島大学医学部卒業。専門は消化器内科。日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン─機能性ディスペプシア(FD)作成委員会」委員長も務める。
及川哲郎さん
北里大学東洋医学総合研究所(東京都港区)副所長(臨床准教授)。1986年浜松医科大学卒業。専門は漢方全般、内科、消化器。日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医。日本消化器病学会消化器病専門医など。

(ライター:佐田節子)

[日経ヘルス2018年8月号の記事を再構成]

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