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モチーフはサメ 顔が変わったメルセデス・ベンツCLS

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット

メルセデス・ベンツ日本は2018年6月、4ドアクーペ「CLS」をフルモデルチェンジした。価格は、799万~1038万円(税込み)となる。CLSは、メルセデス・ベンツが2004年に発表したデザイン重視の4ドアクーペで、昨今の高級車の4ドアクーペブームを生み出した。新型は3代目となる。最大の変更点は、もちろんデザインだ。

クーペらしい流麗なフォルムはこれまで同様だが、新型車のエクステリア(外装)は、次世代のメルセデス・ベンツのデザインの方向性を最初に取り入れたものだという。

最も目を引くのはフロントマスクのデザインで、ボンネットの先端からバンパーにかけて内側に傾斜する。正面は、台形の大型グリルの左右に鋭い眼光を放つヘッドライトを備えたたくましい顔に仕立てられた。

このデザインは、サメをモチーフにしているといい、確かにサイドはサメのようなスピード感をたたえるフォルムととがった鼻先を連想させる。これまでの落ち着きあるフロントデザインが好きだった人には、抵抗があるかもしれない。

ただ、デザインコンセプト自体は、2013年登場のSクラスから採用するコンセプトを発展させたものだといい、基本はしっかりと受け継ぐというスタンス。メルセデス・ベンツのデザインの基本思想である「Sensual Purity(官能的な純粋さ)」にもきちんと基づいている。このため過剰な要素は必要なく、本質を磨き上げるため、スタイルに抑揚を与えるデザイン的に必要な線であるキャラクターラインやエッジなどをできるだけ廃し、曲面の表現で美しいスタイルを完成させたという。

この特徴的なデザインは18年に導入するとみられる新型Aクラスにも取り入れられており、メルセデス・ベンツの顔は今後劇的に変化しそうだ。

定員が4人から5人に

インテリア(内装)はベースとなるEクラスに近い雰囲気だが、エアコン吹き出し口のデザインが変更されるなど、アクセントが加えられている。メーターパネルは、インフォメーションディスプレーが一体となったワイドスクリーンタイプをEクラスから引き継ぐ。

新型ではさらに、改良型のSクラスから搭載されている最新世代のコントロールスイッチを備えた新ステアリングを採用し、オーディオやナビなどインフォメーション機能の操作だけでなく、従来型ではステアリングポストに備わるレバーで操作していた前車追従式のクルーズコントロール(ACC)の設定まで、ハンドルから手を離さず指先で操作ができるようになった。

前モデルまで4ドアクーペは定員が4人だったが、5人まで乗車できるよう広くなり、トランクスペースも30L増の520Lまで拡大した。独自のスタイルを守りながらも実用性を高めた。

賛否が分かれるフロントマスク

グレードは、ディーゼルとガソリンで1タイプずつ。「CLS 220d スポーツ」には、クリーンディーゼルの2.0L直列4気筒ターボエンジンを搭載した。最高出力194ps、最大トルク400Nmを発揮する。

「CLS 450 4MATICスポーツ」は、48V電気システムによるマイルドハイブリッドで、3.0L直列6気筒ツインチャージャーのガソリンエンジンを搭載。最高出力367ps、最大トルク500Nmのパワフルなエンジンに、最高出力16kW、最大トルク250Nmを発揮するモーターを組み合わせた4WD車だ。すでにSクラスの「S 450」にも搭載されているパワーユニットだが、4WD仕様はCLSが初となる。このほかにも、バリエーションの拡大が予測され、間違いなく、高性能なメルセデスAMGモデルは追加されるはずだ。

同社広報部によると具体的な販売目標などは非公表だが、年齢層を問わず、「何よりデザインが美しいクルマが欲しい」と考えている人たちをターゲットにしていくという。全体のフォルムは、CLSらしい美しい4ドアクーペをより新しい形へと発展させることに成功した。しかし、車両前部の上部分が突き出て下部分が奥まった逆スラントノーズのフロントマスクは、賛否が分かれそうだ。今後登場する他モデルで、フロントマスクをいかに昇華させていくか注目される。

(ライター 大音安弘)

[日経トレンディネット 2018年7月10日付の記事を再構成]

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