写真はイメージ=PIXTA長いお休みをリゾートで過ごす人も多いのではないでしょうか。忙しい毎日を忘れてのんびりリラックスしたいものですよね。そんな解放感あふれる場所では、日常とは違った装いが似合います。ただ、それだけに「ちょっと勘違い」なファッションで周囲から浮いてしまったり、パートナーをがっかりさせたり、ということもあるようです。リゾートでもTPO(時・場所・場合)を意識したスマートな装いを選べるのが大人の「できる男」。それは決して難しいことではないのです。
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何でこんな席に――。南国のムードあるレストランで夕日を眺めながら、おいしいディナーを楽しもうと席を予約したのに、期待していた眺望の良い席ではなく、隅にあるトイレの前に座らされた。そんな「悲劇」をときどき耳にします。
その原因が「装い」にある場合があるとしたら、どう思われますか。
レストラン側から見て好ましい雰囲気の持ち主であれば、良い席に、好ましくなければあまり目立たない隅の席に案内されてしまう。実はこういうことはリゾートに限らず、諸外国で意外とあります。レストランもビジネス。望ましい雰囲気をつくろうとするのは当然のことです。
■客だからといって、許されるわけではない
そして、雰囲気をつくり出すには、内装やサービスと同じくらい「客層」が大事だと考えるのです。ですから、どんな格好をしているかは、どの席に案内するかを決めるのにある程度影響します。これを「差別」と憤る人もいるでしょう。しかし、リゾートであれば、あるいは客であれば、どんな格好でも許されるわけではありません。
ハワイの楽しみ方を紹介する雑誌「大人のハワイ」を手がけるLUXWAVE(東京・世田谷)の編集長、池田和弘氏は「ハンバーガーショップやフードコートならいざ知らず、ステーキやロブスターをワインと楽しむような店であれば、それ相応のTPO感覚は示すべきだ」と指摘します。
大人ならメリハリを大切にしたいものです。昼間はカジュアルな格好でのびのびと遊び、日が落ちるころにはシャワーを浴びて装いを変え、また違う気分を楽しむ。こんな優雅な時間の使い分けもリゾートでの休日ならではでしょう。夜も昼と同じ、Tシャツやタンクトップとバミューダパンツ、サンダルでは、スマートとはいえません。また、前述のように雰囲気を大切にする場所では、失礼となります。
せっかくの楽しい旅です。「隅っこにふさわしい」と判断された「屈辱の記憶」ではなく、良い思い出にしたいものです。
■リゾートにはリゾートのドレスアップ
「ちゃんとしたスーツを着よう」というわけではありません。フランスのカンヌやニースなどの本格的なラグジュアリーリゾートでなければ、ドレッシーなスーツやフォーマルな格好は必要ありません。普通のリゾートなら、そんな格好ではむしろ浮いてしまうでしょう。
「昼の服装にプラスして、ディナーも楽しめるようなスマートで機能的なアイテムを着こなそう」というのが、リゾートでのドレスアップです。
まずはジャケットです。やはり一着は旅先でも必要です。仕事に着て行くようなジャケットではありません。コットンやリネン、あるいはサマーニット素材の、軽量で洗える素材のものでいいでしょう。裏地なしのもので十分です。
リゾートこそ似合うリネンの軽いジャケットディナーや夕方からの外出時に羽織れば、スマートに見えるだけでなく、温度調節にも便利です。ハワイや欧州など、日本より湿度が低い地域では、昼と夜の寒暖差が意外と大きいものです。
「ジャケットでなくても、せめて襟付きの長袖シャツ、ロングパンツに着替えてほしい」。池田編集長もこう話します。襟なしのTシャツなどは、たとえリゾートでもディナーにはそぐいません。
ゴルフコースでも、服装を「襟つき」と定めるところが多いように、「襟がある服」は大人が公共の場所で着る服の最低限のラインなのです。
ただし、襟つきでも半袖シャツは太陽の真下、海辺などで着るものです。バミューダパンツなどの短パンもそうです。こうしたアイテムは、昼間であっても高級ショッピングエリアやレストランでは、ちょっと遠慮してもらいたいくらいです。日が落ちてからの食事などでは避けてください。(ただし、アロハやかりゆし等は現地の正装なので、この限りではありません)
涼しい素材の長袖シャツを旅に持って行くと、昼間遊ぶときでも軽い羽織りものとして役立ちます。デイツアーで山や森林に入ったりすると、空気がひんやりしていることがあります。用心のため持っておきましょう。
■お薦めはリネン、シアサッカー
お薦めはリネンやシアサッカー。洗いやすく乾きやすく、またノーアイロンでもOKな風合いの良さが魅力です。日が落ちて、シャワーを浴びてからさらっと着こなせば、上質な大人の雰囲気を演出してくれることでしょう。
シアサッカーのシャツは使いやすい
シアサッカーの生地感ロングパンツはジーンズもいいですが、軽いコットンのものが涼しくはきやすいでしょう。色は白。ジーンズでもブルーではなくホワイトのほうが何に合わせても爽やかです。南国リゾートでは、ディナーにもちょうどいいくらいのエレガントさも演出できます。前出の池田編集長もハワイを訪れる人に必ず薦めているそうです。
足元も同様です。サンダルやスニーカーは砂浜など、遊ぶ場所で履くものです。まだ昼間はいいとしても、夕方以降に食事に行くときにはレザーシューズに履き替えましょう。シックなデッキシューズやスリッポンを一足持っていけば、どんな場所でもだいたい事足ります。
リゾートらしいカジュアルなレザーシューズ撮影協力:阪急メンズ大阪
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丸山ゆ利絵ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。 「できる男のスタンダード講座」記事一覧
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