ひとり女子のプチプラ海外旅行 安心お得な21のワザ
海外でも、国内でも、ひとり旅を軽やかに楽しむ女性が増えています。かつては「ひとりだと危ない」「ひとりだと割高」が常識でしたが、ずいぶん様変わりしました。旅の手配も、行きたい先の情報収集も、スマホやSNSのおかげでとても簡単に。そこでひとり旅上手の日経WOMAN読者代表に、旅の極意やプチプラ(プチプライス=安価な)旅のヒント、お得で安心な旅ワザをたっぷり伺いました。
「あえて雨季」でホテル代を半額に。英語での交渉はスマホ+メモで安心
日経WOMAN読者代表、まずひとり目は小林恵美子さん(48歳・情報・企画)。10年前、友達が急に行けなくなり、宮古島で初のひとり旅を経験した小林さん。「寂しいかと思ったら意外と平気で。ひとりだと現地の人が『次はあそこへ行くといいよ』と親切にしてくれます」。その後、フィリピンのセブ島へダイビングの、フランスでは美術館巡りのひとり旅。「ヨーロッパは2年に1度。去年はチェコとベルギーを回りました」。4年前からは毎年、スリランカでアーユルヴェーダ。「部屋にはテレビもWi-Fiもなし。心と体が整います」。
「ホテルの無料Wi-Fiを利用し、翌日の目的地の地図をオフラインで見られるようにします。出先では現在地がGPSで確認でき、迷子になりません。レンタルWi-Fi代を節約できる」と小林さん。
「カフェバーやバルのようなお店も、明るいオープンエアなら女性ひとりでも安心できます。スペインの立ち飲み屋で、現地のおじさんグループにお酒をごちそうになったことも」あるとか。
48歳・情報・企画。【ひとり旅歴】10年【好きな旅行先】スリランカ【ひとり旅で変わったこと】人見知りだった性格が変わった、地図が読めるようになった
小林さんが毎年行くスリランカの航空券は、貯めたマイルで手に入れる。「こまめにアンケートなどに答えていると案外貯まるものです」。サイトは「GetMoney!」を利用。
指さし会話帳なら、相手も指さしで答えられるから、会話が成立。アプリより頼りになる場合も。
「前日乗ったタクシーよりも料金が高かったので、運転手の身分証を写メしてからクレーム。前日と同額にさせました」 と小林さん。
旅作はANAの航空券とホテルを組み合わせて購入するネット限定商品。在庫により航空券の値段が変わるので、格安になることも。「去年3月に行ったハノイは、朝食付きで4日間5万円。朝発&夜帰国で丸3日間遊べました」。
「地図上で太い道=大通りに面して周囲に飲食店が多く、暗がりの少なさそうな立地を選びます」と小林さん。
「プラハのホテルの排水口が最初から詰まっていて…。そのことをGoogle翻訳で英訳し、メモで残したら、直しておいてくれました」 という。
ひとり写真の撮影は信頼できる人に。1泊80円の宿でお得情報を収集
続いての日経WOMAN読者代表は村島紫織さん(31歳・航空・接客)。初めての海外は、大学2年生で友達と行ったタイのバンコク。以来、「外の世界」に目覚め、翌年はインドシナ半島を気の向くままに回ると決めた村島さん。「誰も付き合ってくれないのでひとり旅に。ベトナム、ラオス、タイと、バスで移動。旅費は航空券代も含めて1カ月で20万円前後で、貯めていたバイト代をつぎ込みました」。社会人になってからはヨーロッパや中東方面へ。「旅行熱が収まらず、派遣会社から航空会社に転職。月の半分は台湾です」。
服装はカジュアルで、ブランドものは一切持ち歩かない。「日本人女性を甘く見て声を掛けてくる現地人には、片言の中国語や韓国語で返して、日本人じゃないフリをすることも」。
総菜が並ぶ屋台はもちろん、カフェでも隣の人の皿を指さして注文すれば通じる。「現地の人の割合が高いお店なら、不当な額を要求されにくく安心。味も良いところが多いです」。
31歳・航空・接客。【ひとり旅歴】11年【好きな旅行先】アジア、ヨーロッパ【ひとり旅で変わったこと】浪費癖が直った、視野・関心が広がって内面を磨くようになった
「スマホやカメラは貴重品なので、預ける相手を選びます。撮影を頼まれたら引き受け、お返しに撮ってもらうのも手」と村島さん。
「学生時代は、タイのバンコクで1泊120円、チェンマイで80円の宿が定宿。他の宿泊客から、安い屋台情報などを聞きました」。韓国では女性専用ドミトリーを利用した経験も。
若く見られやすい日本人。「アルコール注文時にパスポートの提示を求められることがあるので、コピーを携帯。スリ対策として、財布は2つに分けます」。
氷入りの飲み物は、お腹をこわすリスクが高いので飲まないのが海外旅行の基本中の基本。「冷たい飲み物はペットボトルや缶、瓶のものにしています」。
ひとりだと利用しにくい老舗のレストランも、「ランチなら気兼ねなく楽しめます」。これはトルコのイスタンブールの洞窟風レストランで。「看板メニューの豆料理が絶品でした!」。
国内でもワザあり! プチプラ気軽旅
海外ひとり旅はハードルが高くて不安…。それなら国内ひとり旅はどうだろう。10代の最後に行ったニュージーランドで、旅に魅了された日経WOMAN読者の大賀きよ美さん(40代・金融・事務)。旅行回数は、ヨーロッパやアジアのほか、国内日帰りを含めて100回以上! 最近は国内の神社仏閣や美術館巡りの旅が多く、前日に思い立って行くことも。「その気軽さが国内ひとり旅の魅力。友達と行くとなると、数カ月後になりますから(笑)。毎年、年始に行きたいところを手帳に書き出しています」と大賀さん。
「神社仏閣は午前中の人が少ない時間がお薦め」。美術館も開館と同時が狙い目。「伊藤若冲展のように、東京で大行列ができる展示も、地方で早い時間帯なら貸切状態で楽しめることもあります」。
日帰りと1泊2日の旅は、A4サイズの通勤バッグで行く。「荷物が軽いと、近距離の移動なら歩けるし、手荷物を預ける必要もないので、無駄な支出が省けます」。
「年に数回行く大好きな京都は、バス移動が便利。600円の1日券を購入します」。地下鉄にも乗れる900円の券なら、拝観料や手荷物預かり料の割引といった優待が充実している。
「交通費やホテル代はカード払いなので、現金は1万7000円あれば十分」。お賽銭(さいせん)を出しやすいよう、2000円分の小銭と5000円札は小銭入れに、「保険」の1万円札はカードケースに。
「少しでも安い旅行社を探すのが面倒で…。時は金なり、ポイントを貯めれば得と考えます」。期限間近のJALのマイレージは、ファミマのクーポンに交換。
「高級店も、ランチならディナーの数分の1の価格。予約できる店は予約します」。12~13時のピークタイムを外すと、ゆっくり楽しめる。
40代・金融・事務。【ひとり旅歴】約30年【好きな旅行先】京都、伊勢、出雲など【ひとり旅で変わったこと】自信がついて人見知りを克服できた
国内ひとり女子旅で民泊って、使える?
住宅地のマンションやリゾート地の別荘など、一般の家に比較的割安で泊まれるとして人気が高まっている民泊。米国発の仲介サービス「Airbnb」などで利用した人もいるだろう。国内ひとり女子旅で使うのはアリなのか?
「1棟を数人で借りて、女子会を楽しむような使い方はおすすめですが、ひとりで借りるとリスクもある、と理解してください」と語るのは旅行ジャーナリストの村田和子さん。
そもそも民泊の定義は曖昧で、日本で急増した民泊には、法律的にグレーの「ヤミ民泊」が少なくない、と村田さん。「都市部にある『特区民泊』や、農業体験が目的の『農家民泊』など、選んで利用して。なお、2018年6月15日に新法が施行されたので、今後ヤミ民泊は淘汰されていくと期待されています」。
【こんな使い方ならアリ】
○ 大阪など都市部の特区民泊にホテルより安く泊まる
○ 農家の家族が暮らす家などに、農業体験を目的に泊まる
○ 口コミやオーナーの評価をよく確認し、鍵の受け渡し法などを調べてから利用
【ここには注意が必要】
× 一般住宅なので看板などが出ておらず、着くまでに迷いやすいことも
× トラブルがあった場合に、クレームの仕組みが整っていない場合も
× ホストのいない民泊では、合い鍵が作られるリスクもあるので内鍵なども併用を
【STAY JAPAN】百戦錬磨が運営する日本初の公認民泊サイト。都市部からリゾート地まで幅広く掲載。
【里の物語】都市農山漁村交流活性化機構が運営する、農山漁村の施設や体験を紹介する総合サイト。
旅行ジャーナリスト。働く女性、母、主婦の視点から旅の魅力を紹介。著書に『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』(日本実業出版社)。
(取材・文 大屋奈緒子=日経WOMAN編集部、ライター 茅島奈緒深)
[日経ウーマン 2018年7月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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