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アジア最初のヒト族の作? 中国で210万年前の石器

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ナショナルジオグラフィック日本版

2018年7月11日付けの科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、ヒト族(ホミニン)[注]は、これまで考えられていたよりはるかに早い時期にアフリカを出ていたという。初期の人類史の重要な1ページを書き換える大発見だ。

[注]ヒト科(人類とチンパンジー族)の中でチンパンジー族を除いた分類。ホモ属のほかアウストラロピテクス属など絶滅した古代の人類も含む。

中国陝西省上陳(シャンチェン)村の遺跡で発見された100個ほどの石器が、初期のヒト族がアフリカ大陸を出たとされる時期を25万年以上も早めることになるかもしれない。

石器を製作したヒト族は、210万年前~130万年前の80万年間、断続的にこの地域に住み、アフリカ以外では先例のない道具を残した。ホモ・エレクトスの最古の化石はジョージアのドマニシ遺跡で発見された180万年前のものだが、上陳遺跡から出土した最古の道具は、それよりさらに約30万年も古い。

「約200万年前の、アフリカ以外では最古となる石器を発見できたことは、古人類学者である私にとって無上の喜びでした」と、論文の共著者である英エクセター大学のロビン・デネル教授は言う。

「これだけ古い石器を発見できた人間は、エベレスト登頂に成功した人間より少ないですからね」

オーストラリア、ウーロンゴン大学の古人類学者ゲリット・ファン・デン・ベルフ氏は、今回の研究には参加していないが、「私は常々、中国の研究者がアフリカでの発掘調査と同規模の資金をもって自国の発掘調査を行えば、必ず何か出てくるはずだと言っていました」と興奮を隠さない。

「私たちがほとんど何も知らないことが、またもや明らかになりました」

人類の出アフリカ

現生人類、ホモ・サピエンスは、約6万年前にアフリカを出た。しかし、ヒト族がアフリカの外に出たのはそのときが初めてではないし、移住を試みたのもホモ・サピエンスだけではない。ホモ・エレクトスの化石はジョージアからインドネシア、ジャワ島にかけての広い地域で見つかっている。また、ネアンデルタール人の祖先は約50万年前にいまの欧州に移住した。少なくとも70万年前には初期のヒト族が南太平洋の島々に到達し、「ホビット」と呼ばれるフローレス原人をはじめとする道具を作る人々が進化した。

アジアでは、さらに古い時代にヒト族が住んでいたことを示す遺跡が見つかっている。1980年代には、パキスタンで発見された石器が200万年前のものかもしれないという研究結果が発表された。2004年には、中国の研究チームが、中国北部の泥河湾盆地で166万年前の石器を発見した。2015年には、上陳村から5キロも離れていない場所で見つかったホモ・エレクトスの頭蓋骨が、160万年以上前のものであることが明らかになった。

論文の筆頭著者である中国科学院の地質学者、朱照宇氏は、中国にはもっと古い遺跡があると確信し、2004年に上陳遺跡の発掘調査を開始した。

2007年7月、発掘チームのメンバーが、切り立った露頭の中にある1つの石に目をとめた。ヒト族が加工した石器だった。朱氏らは、2017年までにこの場所を深さ70メートル以上発掘し、そのうちの17層に石器が含まれていることを確認した。

石器の製作時期を特定するため、朱氏のチームは石器が見つかった地層の磁気を測定した。

地層が形成されるとき、土の中に含まれる鉱物には、そのときの地磁気の向きが記録される。地磁気はときどき逆転するため、ほかの地域の地磁気の変化の記録と比較することで、その地層の年代を特定できるのだ。

朱氏は、上陳遺跡の堆積物を、年代がよくわかっているアフリカの土と比較することで、各層の年代を正確に特定した。論文で検証された96個の石器のうちの6個が発見された地層は、212万年前まで遡るものであることが明らかになった。

石器を作ったのは誰?

上陳遺跡では石器と一緒に発掘されたヒト族の化石はないため、誰がその石器を作ったのかはわからない。

ドマニシ遺跡の石器を作ったホモ・エレクトスが、上陳遺跡の石器も作った可能性はある。彼らは石器を製作し、大陸を横断するのに必要な体格と歩行能力を備えていた。しかし、これまでに見つかっているホモ・エレクトスの最古の化石は180万年前のもので、上陳遺跡の最古の石器よりかなり新しい。

「この時代の中国にホモ・エレクトスが住んでいた可能性は大いにあります。けれども、遺跡の年代と、さらに古い時代の石器が発見される可能性を考えると、ホモ・エレクトスより古い化石人類、例えばホモ・ハビリスなどがアジアに広く分布していた可能性も考えられます」と、ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の古人類学者で、古代アジアの道具を研究しているマイケル・ペトラグリア氏は言う。

スペインの人類進化国立研究センター(CENIEH)所長で、アジアのヒト族化石の世界的権威であるマリア・マルティノン=トレス氏は、これまでホモ・エレクトスに分類されてきた中国のヒト族化石の一部についても再考するべきだと指摘する。

「ホモ・エレクトスという言葉は包括的に用いられる傾向があり、アジアで発見されたヒト族の化石がすべてホモ・エレクトスに分類できるわけではないことを認めなければなりません。アジアの最初のヒト族をめぐる問題はまだ解決していないと思います」

上陳遺跡の石器を製作したヒト族の正体が何であろうと、その脳は現生人類の3分の1程度しかなかったはずだ。脳の大きさがすべてではないが、専門家は、これほど初期の、小さな脳しかもたないヒト族が、200万年も前にアフリカから中国まで広まったことに驚いている。

謎のヒト族の正体は、今後の研究によって明らかになるだろう。デネル氏は、210万年前のものよりもさらに古い堆積物を調べてみたいと言う。上陳村では、この時代の堆積物は農場の下にあり、発掘できなかったからだ。アジアのどこかで、今後、さらに驚異的な発見があることは確実だ。

「科学界は長年、人類の進化に関してアフリカの役割ばかりに注目し、アジアは二の次になっていました」とマルティノン=トレス氏は言う。「アジアでの発掘調査が進むにつれ、より多くのサプライズがあるでしょう」

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年7月13日付]

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