変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

清水恵美子・P&Gジャパン営業統括本部カスタマーロジスティクスグループマネージャー

清水恵美子・P&Gジャパン営業統括本部カスタマーロジスティクスグループマネージャー

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。様々な女性管理職が交代で執筆します。今回は、P&Gジャパン営業統括本部カスタマーロジスティクスグループマネージャーの清水恵美子氏。初めての登場です。

◇  ◇  ◇

「ワーク・ライフ・バランス」と聞くと、「ワーク(仕事)」も「ライフ(生活)」も同じようにバランスを取らないといけないような印象があります。しかし、大切なのは常に50対50のバランスを保つことではなく、その時々の自分のライフステージに合わせた最適なバランスを見つけることだと考えています。

入社してから工場の製造ライン開発に携わり、全力で仕事に取り組んでいた入社6年目に子供ができました。世界中の同僚たちと一緒に働くのが楽しく、キャリアも順調だったので、正直なところとても焦りました。

しかし、当時の上司がかけてくれた言葉のおかげで今の私があると思っています。「長い人生の中でスピードを落とすことがあってもいいのでは。自分で準備ができたと思う時にまたアクセルを踏めばいい」

その後、2~3年間の短期的な優先順位と、20~30年先の長期的なキャリア形成について冷静に考えることができました。もともと野心家タイプで、仕事による充実感も大きかったのですが、出産直後は子供たちとの生活で満たされ、キャリアへの意識は自然と薄れてしまっていました。

当時のライフステージでは、自分のキャリアを大きく伸ばすのは難しいと感じていましたし、そういった気分にもなりませんでした。その後、第2子が2歳を過ぎたころ、自分の中でのリズムとバランスが見え始め、キャリアへの意欲が再びわいてきました。上司に管理職を目指したいと宣言し、1年後に管理職になりました。

この変化は私のキャリア人生で大きなターニングポイントです。育児や家事をしながら、裁量権も量も増えた仕事をこなし、チームメンバーの育成も求められます。速度が追いつかず、あっという間に今までと同じ働き方では処理できなくなりました。

この局面での私の学びは「できないことはできないと声をあげて周囲に助けを求めていい」ということです。一人で抱え込むのではなく、できない時にはどんなサポートが必要なのかを明確にし、声に出して伝える。こうして多くの人に助けてもらいながら、今も毎日を走っています。

そして、子供を持ってから管理職となったことは私にとって非常に大きなメリットだったとも感じています。育児での経験を通じて、多様な考え方への許容度が高くなりました。チームのみんなの気持ちを読む力も養われたと感じています。

相手の言動の根本にあるものを理解しようと努める。ひとまず意見を聞き、伝え方や表現を相手に合わせて変える。できないところに目を向けるのではなくできるところを伸ばすよう注力する。このように、相手との違いや多様性を尊重しながら関わっていくことができるようになったと感じています。

今の私は仕事も生活も価値観も、時には感情までも、常に柔軟にしておかないとなかなか前に進むことができません。その状況が自分を成長させてくれていると考えています。自分だけでなくチームもビジネスも家族も成長できる最適な「ワーク・ライフ・バランス」を見つけていきたいと思っています。

しみず・えみこ
 2005年P&Gファーイーストインク(現P&Gジャパン)入社。日本や中国の工場で製造ライン開発に携わる。16年から物流戦略を担当。2児の母。

[日経産業新聞2018年7月19日付]

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック