格安ドラレコ、どこまで使える? 売れ筋品と徹底比較
特集 ドライブレコーダー 購入&活用ガイド(中)
ドライブレコーダーの売れ筋は、1万円台の製品。一方、ネットで安価な製品を探すと、5000円以下の格安品もある。こうした格安品を買っても大丈夫なのか、売れ筋製品とは何が違うのか、気になるところだ。そこで、記事「ドライブレコーダー 今さら聞けない購入のキホン」に続く特集第2回は、5000円以下の格安品と1万円台半ばの売れ筋製品を実際に購入し、比較してみた。
格安ドラレコを4799円で購入
今回購入したのは、アマゾンで見つけたとある格安のドライブレコーダー(以下、格安品)。価格は税込み4799円だった。格安品ながらレンズが3個もあり、前方だけでなく車内や後方も撮影できる。販売ページによると、衝撃センサーや駐車監視など機能は豊富。撮影解像度は最大1920×1080ドットで、画角は170度もあるという。
一方、比較する1万円台の売れ筋製品として購入したのは、パイオニアのND-DVR40(以下、売れ筋製品)。実売価格は1万5510円。衝撃センサーや駐車監視のほかに、GPSも備える。撮影解像度はこちらも最大1920×1080ドットで、画角は対角111度。この価格帯の製品としては一般的な仕様だ。
この2つのドラレコを実際にクルマにつけて比較してみる。
格安にはおかしな日本語も
売れ筋製品の液晶は2型で小さい。ただその分、本体は小型で邪魔にならない。一方、格安品は本体が巨大で目障りな半面、液晶は4型で大きく見やすい。設定画面はどちらも日本語で表示されるが、格安品は日本語が一部おかしく、戸惑うケースもあった。
次に説明書を比較してみる。売れ筋製品は、使い方や取り付け方法などを記載した分厚い説明書が付属する。一方、格安品は簡単な使い方が記載されているだけで、こちらも日本語が一部怪しい。意味は通じるものの心細い。
今回購入した売れ筋製品には8ギガバイトのマイクロSDHCカードが付属。フルHD 解像度の常時録画で最大約1時間9分の記録が可能だ。一方、格安品はマイクロSDカードが付属しないため、別途購入しなければならなかった。
どちらの製品も初期設定では3分程度ごとに動画ファイルを区切る。フルHDで録画し、1ファイル当たりの容量を比較したところ、売れ筋製品がぴったり3分で250メガバイト程度だったのに対し、格安品は3分39秒になり容量が480メガバイト程度もあった。
夜は細部がぼやけて見えないケースも
スペックを比較すると、最大撮影解像度は双方ともフルHDで同じ。画角は売れ筋製品が111度、格安品が170度とあり、格安品のほうが高性能に見える。
ただ、撮影した映像を比較すると、上下の映る範囲は格安品のほうが広いものの、左右の映る範囲はほとんど差がなかった。また、格安品は四隅の湾曲が激しく、補正もされないため、かなりゆがんで見えた。
さらに、画質は雲泥の差だ。売れ筋製品は色が鮮やかで、周囲の物体の輪郭がはっきりと映る。一方、同じ解像度で記録しているはずなのに、格安品は色味が悪く、四隅が暗い。また、周囲の物体の輪郭が若干ぼやけている。
夜間に撮影した映像の画質も比較した。この写真ではわかりにくいかもしれないが、実際の映像を見ると、売れ筋製品の映像は一部に黒つぶれがあるものの、歩行者の表情まではっきり映っており、状況を把握しやすい。一方、格安品はヘッドライトで照らされている部分はきれいに映っているが、暗い部分は輪郭がぼやけてしまっている。
格安品は周囲の状況をある程度は記録できるが、ナンバーや道路標識といった細かい文字が潰れてしまい、困ることがあるかもしれない。ドライブレコーダーの本領はやはりアクシデントの記録。事故の直前から瞬間、事故後まで、状況をすべて映像に残してくれる、万が一の「状況証拠」を記録するためのものだからこそ、機能や品質は確かな製品を選びたい。安いからといって、むやみに手を出さないほうが無難だろう。
(文 田代祥吾)
[日経PC21 2018年8月号掲載記事を再構成]
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