外国人観光客がはまるニッポン 神秘の島、迷宮の鳥居
日本の町角で外国の人が写真を撮っている先を見ると、看板やディスプレーなど、私たちにとってはごく日常的なものだったりします。そんなふうに外国人目線で日本を眺めると、日常が違ったものに見えたり、いつもと違った感じがして新鮮かもしれません。そこで海外の目線で選ばれた日本の魅力的なスポットを再発見する旅に出てみるのはいかが?
海外紙で紹介された「絶対行きたい日本の13の島」
英国の一般紙「ザ・テレグラフ」が紹介している日本は「日本の美しくて奇妙 でも絶対行きたい13の島」。ちょっとマニアックながら、カリブ海のような美しい海と島もあって、島旅の参考になりそうです。
1.直島(香川県)
やっぱり人気の直島。のどかな島の風景、古い民家、そこに斬新なアートと建築。町もこぢんまりとして、民家を利用したオシャレなカフェも多数あり、女子旅にはうってつけ。
2.軍艦島(端島)(長崎県)
かつて炭鉱で栄えた無人島。2015年に世界文化遺産に。町の建物が残ったまま無人島となったため、廃墟感たっぷり。軍艦のようないかつい全体像。
3.猫島(宮城県・田代島、愛媛県・青島など)
猫神社や猫の記念碑まで存在する、猫好きにはたまらない島。江の島あたりにも1000匹以上のネコが生息するなど、日本各地に猫島は見られる。
4.青ヶ島(東京都)
伊豆諸島に属する火山島。青ヶ島は無番地で、日本一人口の少ない美しい村。東京でありながら秘境で、絶景スポットや満天の星が楽しめる。
5.八重山列島(沖縄県)
カリブの海を思わせるような美しいビーチと透き通るブルーの海。南西諸島の一部。
6.ウサギ島(広島県・大久野島)
瀬戸内海の島。今は観光客も多く、エサを持って行くとかわいいウサギたちに会える。かつて大戦中は毒ガスのテストのために地図から消され、被験のために育てたウサギが繁殖したという歴史も。
7.母島(東京都・小笠原諸島)
小笠原諸島は東洋のガラパゴスの別名で知られる、独自の生植物が生存する自然あふれる島。2011年世界自然遺産に登録。
8.宮島(広島県)
海面に立つ、嚴島神社の神秘的な赤い鳥居が有名。嚴島神社は世界文化遺産。
9.南西諸島(鹿児島県・沖縄県)
美しい海とサンゴ、珍しい猫などがいる、長寿の島々。奄美群島、沖縄諸島、宮古列島ほか。
10.桜島(鹿児島県)
1914年の噴火で本土とつながり、島ではなくなった。いまだに噴火もあるものの、6万8000人が近郊に住む。<2018年6月18日 - 桜島は火口周辺警報>
11.屋久島(鹿児島県)
樹齢3000年以上ともいわれる縄文杉で知られる。自然散策に加えて海や温泉も楽しめ、年間約30万人が訪れる。
12.利尻島(北海道)
北海道の北部の日本海上に浮かぶ島。お土産「白い恋人」のパッケージになった利尻山ときれいな沼地がある。高山植物も楽しめる。
13.三宅島(東京都)
伊豆諸島の火山の島。全域が富士箱根伊豆国立公園に属する美しい島。イルカと一緒に泳ぐなど多様な楽しみ方がある。
パリやニューヨークと肩を並べた、古民家カフェとアートの島
前述のザ・テレグラフでも1位になった瀬戸内海に浮かぶ小さな島、直島は、以前に欧米のサイトで、パリやニューヨークと並ぶ「世界の人気観光地」としてトップ10入りしています。
海辺に置かれた草間彌生さんのかぼちゃのオブジェが象徴的な直島。他にも安藤忠雄さん設計のホテル・ベネッセハウス、地中美術館、古民家アートなどで有名です。
私も以前に四国から立ち寄ったことがあります。船を降りるとのどかな島の風景がありつつ、近代アートの雰囲気がただよい、海辺に作品がたたずんでいたりします。なんでもない民家の中が作品になっているかと思えば、路地を歩けば風鈴が鳴り金魚鉢が置かれていたりする、ちょっといい散歩道。古い民家を利用したシャレたカフェで一休みしながら、ぶらぶら歩いてローカルバスに乗ったりと、程よいサイズ感の町でした。
宿泊したベネッセハウスは、コンクリートの近代的建物と木目家具の暖かみが共存するシンプルでアートな空間。滞在した海辺の部屋は、ちょうど降ってきた雨がベランダの玉石をポタポタ打って、楽器を奏でているかのようでした。
古い民家と近代的なアート空間、そして瀬戸内の小島の風情が女子旅にはうってつけ。海外の人たちがパリやニューヨークと並べて名前を挙げるモダンさもありつつ、のどかな日本でもある。全く違う顔が溶け合う個性的な島です。
それぞれ特徴がありますが、猫島やウサギ島などは日本人にそれほどなじみがないかもしれないですね。次に、テッパンの観光スポットも見てみましょう。
外国人に人気! 日本の見るべきベスト10、第1位はあの神社
さて、今度は外国人に人気の、王道の観光スポットです。トリップアドバイザーに掲載された米国、欧州、中国の旅行者の人気スポットをまとめてみるとおよそこんな感じです。
1.宮島(広島県)
2.原爆ドーム(広島県)
3.清水寺(京都府)
4.姫路城(兵庫県)
5.浅草寺(東京都)
王道中の王道といえるスポットですね。でも、次のマスト・シー(見るべき)には、異次元感や風情ある場所が挙がっています。
1.伏見稲荷大社(京都府)
2.沖縄美ら海水族館(沖縄県)
3.地獄谷野猿公苑(長野県)
4.東京ディズニーシー(千葉県)
5.三十三間堂(京都府)
京都の伏見稲荷大社の千本鳥居が連なる様子は、そこをくぐるとねじれた別の空間に誘われる感覚。三十三間堂も1001体の仏像が並び、一体は自分に似た像があるといわれ、神秘的な雰囲気が漂うところ。そして、外国の人にはなぜか猿の入浴シーンが人気。地獄谷の他にも京都市動物園などで猿の温泉は人気となっています。
大正ロマンの風情を残した銀山温泉も魅力
個人的には山形にある銀山温泉も、大正ロマンの風情を残した味わい深い町並みでした。「千と千尋の神隠し」の油屋によく似た温泉宿もあれば、建築家の隈研吾さん設計の「藤屋」も。藤屋は、温泉といっても大浴場はなく、貸切風呂が5つ。地下でほのかに暗かったり、光を取り込んだ半露天風呂だったり、竹のお風呂だったり……。和紙を通した光が心地よく、和の陰影を取り入れたアートな宿でした。
少し違った視点で日本を体感してみると、まだまだ面白いところがたくさんだと再認識できますね。世界50カ国以上を回ってきて、最近特にそう思えます。日本のガイドブックだけに頼らずに、ちょっと違った視点からの自分なりの小旅行をぜひ試してみてください。
著述家、翻訳家、コミュニケーション・アナリスト。カナダ、オーストラリアに留学後、ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズム専攻、東北大学博士前期課程人間社会情報科学専攻修了。通信社、出版社をへて、コラム連載や媒体プロデュースを手がける。仕事と趣味で世界50カ国以上を周る旅好き。著書に『コトバのギフト―輝く女性の100名言』(講談社)、『スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン』(日経BP社)『mini版 1週間で英語がどんどん話せるようになる26のルール』(アスコム)ほか多数。
[nikkei WOMAN Online 2018年7月5日付記事を再構成]
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