ドライブレコーダー 今さら聞けない購入のキホン
特集 ドライブレコーダー 購入&活用ガイド(上)
運転中の出来事を常時記録するドライブレコーダーが人気だ。事故やハプニングの瞬間を記録するのはもちろん、撮影した動画をパソコンに取り込めば、後から旅先の風景を見直したり、ドライブルートを振り返ったりして楽しめる。安価なものは5000円以下からあるが、万が一の「状況証拠」を記録するためのものだけに、自分に必要なものは何かを踏まえた上で購入したい。製品選びのポイントをまとめた。
楽しみ方は多様だが基本は事故の記録
ドライブレコーダーの仕組みは、デジタルカメラとほぼ同じだが、車載用に特化している。デジカメよりも広角なレンズを搭載しており、映る範囲がかなり広い。また、エンジンを始動すると同時に録画を開始し、駐車してエンジンを止めると録画が停止するため、取り付け後の操作は基本的に不要だ。マイクも内蔵し、車内の会話、エンジン音や風の音、小鳥の鳴き声といった周囲の音も、動画と一緒に記録できる。
動画は、パソコンやスマートフォンで広く使われるファイル形式で保存されるため、パソコンで編集したり、動画共有サイトで公開したりするのも簡単。動画から静止画を切り出してSNSやブログに投稿するのも面白い。
とはいえ、ドライブレコーダーの本領はやはりアクシデントの記録。事故の直前から瞬間、事故後まで、状況をすべて映像に残してくれる。運転手から見えにくい、付近の歩行者や自転車の動きなども把握しやすく、GPSを搭載するドライブレコーダーなら、その瞬間の速度も記録できる。そんな「状況証拠」を記録するものだからこそ、機能や品質は確かなものを選びたい。
撮影解像度と画角は必ずチェック
調査会社GfKジャパンの報告書によると、2017年は70以上のメーカーから600種類以上のドライブレコーダーが販売されたという。製品はかなり多い。低価格のドライブレコーダーは5000円以下で購入できるが、やはり安価な製品は画質が低くて機能が少なく、高価な製品ほど高画質で多機能だ。
最大撮影解像度は、記録する映像の細かさを示し、数値が大きいほど映像が精細となり、小さな文字もはっきりと映る。最大撮影解像度は1920×1080ドット(フルHD)以上は欲しい。低価格の製品は1280×720ドット(720P)か、それ以下なので不満が残る。
画角は、映る範囲を、レンズからの角度で示した数値。大きいほど広い範囲が映る。水平画角が最低でも100度程度ないと、交差点などでの左右の状況が映りにくい。
後方にドライブレコーダーを取り付ける人も最近は多い。後方の状況も撮影できるので、アクシデント時の状況をより説明しやすい。最近はカメラが2個セットになり、前後の状況を同時に記録できる製品もある。
最近のドライブレコーダーは多機能化が進んでいるが、特に注目したいのは「夜間撮影」の強さ。高感度センサーを搭載することで暗い所での撮影に強い製品が登場している。360度の全方位レンズを搭載し、前後左右を同時に1つの映像として記録できる製品もある。
注意したいのは、LED信号機への対応だ。LED信号機は、目では確認できないほど高速で点滅しており、信号機の点滅周期と動画の撮影コマ数によっては、色がまったく映らないことがある。動画の撮影コマ数を信号機の点滅周期とかぶらないように調節してこの問題を回避している製品も多いので、確認しておきたい。
エンジンを切ったときも録画する付加機能も
購入するときは付加機能も確認したい。
ドライブレコーダーの中には「GPS」を搭載する製品もある。動画と同時にGPSが取得した位置情報も記録するので、場所や速度を後から確認できる。
フロントガラスは光が反射し、ダッシュボードなどが映り込みやすい。特に夜間ではその傾向が強く、ドライブレコーダーにも記録されてしまう。その反射が強いと、動画の一部が映らないことがあるので気を付けよう。「偏光フィルター」を利用できる製品なら、それである程度は抑えられる。
アクシデント時の撮影に役立つ付加機能もある。
「衝撃センサー」があれば、一定の衝撃を感知したときに、その前後の映像が別のフォルダーに保存される。そのデータはマイクロSDカードの空き容量が不足しても上書きされないため、必ず手元に残る仕組みだ。
「駐車監視機能」は、駐車してエンジンを停止した後、車のバッテリーやドライブレコーダーに搭載する電池を使い、撮影の待機状態にできる機能。いたずらや当て逃げなど、車から離れているときの出来事を監視できる。撮影した映像をリアルタイムで解析し、運転者に警告を与える「運転支援機能」もある。
さらにタイプも多様だ。デジタルカメラのようなカメラ型、レンズと本体が分離しているセパレート型、ルームミラーにかぶせて取り付けるミラー型、前後左右をすべて撮影できる全方位型などがある。それぞれ一長一短があるが、売れ筋はカメラ型で、取り付けや調節がしやすいのが利点だ。
最大撮影解像度や画角、付加機能はもちろんのこと、カメラ型、セパレート型、ミラー型、全方位型など種類や取り付け方向も含めて検討し、製品を選ぶとよいだろう。
(文 田代祥吾)
[日経PC21 2018年8月号掲載記事を再構成]
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