さあ夏休み! 旅先で便利な「100均アイテム」10選
旅を最大限に楽しむには入念な準備と荷物選びも大事だ。
旅に便利な100円ショップアイテムを専門家10人が選んだ。
「捨ててもOK」 高級品の代わりに
日本旅行業協会(JATA)が約230社の旅行会社に2018年度の夏休み旅行先の人気ランキングを調査したところ、海外は台湾が1位でハワイと韓国が続いた。国内では北海道がトップで2位は沖縄、3位は東京だった。
JATA広報室の矢嶋敏朗さんによると、旅行が身近になって準備期間が短くなった結果、うっかり忘れ物をするケースが増えたという。
海外ではスリや窃盗などが多い地域もあり、「旅行中は時計などの高級品は100円ショップの製品で代用するのがおすすめ」(矢嶋さん)。忘れ物や落とし物もあり、「旅先に持って行くものは旅先で捨ててもいいくらいの気持ちで選ぶ方がいい」と助言する。
外務省は海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/)で各国・地域の危険度合いやトラブルの実例などを紹介している。快適で安全な旅のためにもしっかりチェックしよう。
コイン状 ぬらすとおしぼりに
直径約4.5センチ、厚さ約7ミリのコイン状に圧縮したタオル。ぬらすと縦が約23センチ、横は約35センチのおしぼりのようなタオルになる。顔や体をぬぐったり、テーブルを拭いたりと用途は多彩。かさばらないため旅行の手荷物に入れておくと便利だ。「最近、足湯が増えたので、温泉旅行に持って行くといざというときに使える」(雨宮健一さん)。1袋6枚入りで、海外旅行では「地域によって物々交換にも使えそう。奇想天外なタオル」(さくら剛さん)。
サイズはスモール(約16センチ×約26センチ)とレギュラー(約21センチ×約26センチ)もあり、シーンに応じて使い分けることもできる。パルプ100%で強度も十分。「想像以上に丈夫で、ぬれティッシュでは心もとないときもこれなら大丈夫。持っておけば何かと安心」(村田和子さん)など、と専門家の高い評価を集めた。
(1)ダイソー(2)大創産業
取り付け簡単 風景も接写も
せっかくの旅行なので写真は背景をよりワイドに撮影したい。大勢の集合写真を撮りたい――。旅先ならではのそんなニーズにこたえる外付けレンズ。スマートフォンのレンズ部分にクリップのように取り付けるだけで、風景などの広角写真や、小さい被写体に近寄って撮るマクロ写真を撮影できる。「自撮りのときに威力を発揮。コンパクトで持ち運びしやすい」(富本一幸さん)
スマホ本体を挟んで固定するクリップにマクロレンズが付いた形状。広角で撮る際はさらにワイドレンズ(0.67倍)をねじ込んで使う仕組みだ。カメラ背面のレンズの中心から機器の端まで約21ミリ以内、厚み13ミリ以内のスマホが対象だが、実際はほとんどの機種で使える。「100円という値段以上に楽しめる優れもの」(中村あゆみさん)、「景色や人が(画面に)入りきれないときに便利」(松前光男さん)。1位とした専門家も多い。
(1)キャンドゥ、ワッツ(2)クリエーション
フィルターを挿入 車内・機内で乾燥防ぐ
マスクの中央部にウエットフィルターポケットを設け、喉の乾燥対策に配慮した。同封の「のど潤いフィルター」を挿入して使う。「車内や機内で乾燥予防に使いたい。2枚入りなので出先で使う分だけ買えるのがいい」(柳沢美樹子さん)、「息苦しさもなく快適。マスクが大きいので女性には肌の保湿にもいい」(本多美也子さん)など、女性の専門家からも高評価。
耳にかける部分は柔らかい太幅ゴムで耳が痛くなりにくい。空気中の微粒子を99%除去するフィルターを使用。「ドラッグストアの商品よりも格安。ホテルでの就寝時にも使える」(松崎のり子さん)とさまざまに活躍しそうだ。
(1)キャンドゥ(2)キャンドゥ
自撮りにチャレンジ
伸縮式スティックの先にスマートフォンを取り付けることで「自分撮り」が簡単にできるアイテム。スマホを先端に挟み、コードをイヤホンジャックに差し込む。手元のボタンとシャッターが連動して撮影できる。「コンパクトで使い方も分かりやすいので、自撮りに挑戦したことのない人はぜひ試して」(中村さん)
通常時は約24センチ、最長約58センチに伸びる。イヤホンジャックがある機種に対応するが、事前に対象機種を確認した方がいい。「インスタグラム映えする観光地が増えた。やはり持っておきたい」(雨宮さん)。同種の製品は人混みで使ってもめ事になったり、高所から転落したりする事故も多いので注意が必要。
(1)キャンドゥ(2)オカザキ
かさばる衣類 コンパクトに
かさばる下着類やトレーナーなどの衣類を入れ、空気を押し出すように丸めると小さく圧縮できる。「海外旅行ではないと困る。チャック部が緩んでくる製品が多いが、100円ならたくさん買えて大変ありがたい」(井門隆夫さん)。長期旅行にはとりわけお薦めだ。
横約45センチ×縦約60センチと大きめサイズで「3日間入れてみたが空気は入らなかった」(柳沢さん)と機能性も十分だ。ただ、圧縮すると荷物がたくさん入り過ぎ、バッグが重くなることもあるので注意。「セーターなど冬場にも大活躍」(雨宮さん)と、季節を問わず活用できる。
(1)ワッツ、セリア(2)シナップス・ジャパン
海外のトイレでも安心
薬液の99%が純水でできたウエットティッシュ。使用後はそのまま水洗で流せる。「海外をはじめ公衆トイレでは温水洗浄便座がまだまだ普及しておらず、持っていると安心感がある」(富本さん)、「長距離フライトや乗り継ぎ空港でトイレに行った際に利用価値がある」(松前さん)。
肌触りが良いパルプ不織布製で、横約15センチ×縦約20センチ。10枚入りが2個パックと「値段の割にお得。旅先で衛生面が気になることは多いので、持っておくと安心」(中村さん)、「海外旅行でいつも携行しているが、100円ショップにあるなら今後はこちらで買いたい」(井門さん)など、コストパフォーマンスの良さを評価する声が多かった。
(1)キャンドゥ(2)キャンドゥ
化粧水など液体を飛行機に
手荷物の検査が厳しい飛行機の客席に、化粧水などの液体を持ち込むためのチャック付き透明バッグ。(1)液体を100ミリリットル以下の容器に入れ、(2)その容器を1000ミリリットル以下の無色透明の再封可能な袋に入れる――との条件を満たせる。小銭や薬の持ち運びにも便利だ。
横約20センチ×縦約17センチで底マチ付きの3枚入り。簡単なメモ用スペースもあり「何枚あっても便利。スライダー付きなのでおすすめ」(中村さん)。「材質も比較的丈夫」(本多さん)。荷物のパッキングは旅の準備の基本。こうした袋を使い「使用頻度や種類によって小分けしておくと整理しやすい」(富本さん)。
(1)ワッツ、セリア(2)ネオシード
ポケットに入るコンパクトさ
「コップを畳むという発想が異次元」(さくらさん)と専門家から驚きの声が上がった製品。収納時は直径が約6センチ、厚さは約1センチとコンパクトだが、中央部分を押して伸ばすと高さ約6センチのコップに早変わりする。「他人の使ったコップを使うのに抵抗がある人は、旅行以外でもおすすめ」(雨宮さん)。海外で宿泊料金が安いホテルではコップがないこともあり、ポケットにも入るので便利だ。
シリコーン製。「湧き水のように手ですくって飲みづらい場所でも使える」(柳沢さん)。電子レンジやオーブンなどで使うのは推奨されていない。また「便利だが、柔らかくて倒れやすい」(村田さん)との声もあった。
(1)キャンドゥ、ワッツ(2)セイワ・プロ
ジャケットから下着まで
長方形で深さのある収納ケース。ファスナーはコの字形で大きく開く。スーツケースを整理する上で日常的に使え、「旅行の必需品と言っていい」(松前さん)。洗面道具や文房具など、持ち込み手荷物が多い女性なら機内用にも使える。
素材はメッシュ加工で内部が見やすい。「ものを出す時間が1回につき約5秒は節約できる。1万回なら5万秒でばかにならない」(さくらさん)と長期旅行でも重宝しそうだ。縦約38センチ、横約28センチ、厚さ約8センチと、ジャケットから下着類まで入る容量が魅力。一方で素材や縫製の粗さを指摘する専門家もいた。
(1)セリア(2)セイワ・プロ
長距離移動に 硬さ調節可能
収納時は横約25センチ、縦約35センチのシート状だが、浮輪のように空気をふき込むことで腰用の枕になる。「短距離のフライトやバスの座席はクッションが硬いので、腰が心配な人に向いている」(松前さん)。ポリエチレン製で植毛加工をしているので肌触りも良い。同じ姿勢を強いられて腰が痛くなりがちな長距離の移動にも好適だろう。
セ氏マイナス30度から70度の高温まで耐えられる。「空気の量で硬さが調整できるのも便利。ホテルの枕の高さが合わないときにも使える」(松崎さん)、「せっかくの旅行で移動が苦痛になってはもったいない。予防効果が期待できる」(富本さん)と快適な旅を手助けする機能への期待が大きかった。
(1)セリア、キャンドゥ、ワッツ(2)エコー金属
◇ ◇ ◇
ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。(1)販売する主な100円ショップ(取り扱いがない店舗もある)(2)主な製造販売元(同様の商品を複数メーカーが出している場合もある)。各店舗の品ぞろえが流動的なため、購入前に店舗への在庫確認が必要。モデルは田島ユカリ、撮影は岡田真。
調査の方法 各チェーンの推薦などを通じて「旅先で役に立つ」100円ショップアイテムを集め、専門家の助言を得て編集部で20製品を選定。全商品を各専門家に送り、実際に使ってもらった上で評価結果を集計した。
評価項目は(1)利便性(2)機能性(3)コストパフォーマンス――の3項目。旅の準備や飛行機などでの移動中、温泉や海外など旅先での様々な利用場面を想定して評価してもらった。
今週の専門家 ▽雨宮健一(KNT-CTホールディングス国内旅行部)▽井門隆夫(高崎経済大学地域政策学部観光政策学科准教授)▽さくら剛(旅行作家)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽中村あゆみ(昭文社ことりっぷ編集部)▽本多美也子(旅行ジャーナリスト)▽松崎のり子(消費経済ジャーナリスト)▽松前光男(JTBグランドツアー&サービス添乗員)▽村田和子(旅行ジャーナリスト・家族deたびいく代表)▽柳沢美樹子(旅の著述・編集業)
[NIKKEIプラス1 2018年7月21日付]
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