スマホでオーディション 動画配信アプリで気軽に参加
スマートフォンの普及に伴い、近年、動画配信アプリが次々と生まれている。その中でも人気コンテンツとして注目を集めているのが「オーディション」だ。各動画配信アプリが出版社や芸能事務所などとコラボレーションし、未来のスターを生み出す場として活用し始めている。最近では、オーディションに特化した動画配信アプリが誕生しているほど視聴者からの人気が高まっている。
LINEが運営する動画配信サービス「LINE LIVE」では、一般人を対象にしたオーディションを開催。スターダストプロモーションと共同で、次世代の女性モデル・タレントを発掘する「FEMALE MODEL&TALENT AUDITION 2018」を2月に始めた。
二次審査では、「LINE LIVE」に候補者が上げた動画の視聴者数などによって、ファイナリストが選ばれる。
アイドルやお笑い芸人、声優などが動画配信をする「SHOWROOM」では、「イベント」というページの中で様々なオーディションを開催。なかでも最近盛り上がりを見せるのが「声優」と「男性タレント」だ。
声優では、有名ゲームの声優出演権を競うものが人気。SHOWROOMの担当者は「特に声優に関するものは配信者も視聴者も熱量が高く、ユーザーと売り上げの拡大にも貢献してくれている」と明かす。
男性タレントでは、雑誌「JUNON」とタッグを組み、「JUNONBOY EGG PROJECT」をスタート。「男性が参加するオーディションが増えたことで、SHOWROOMの女性ユーザー獲得にもつながっている」(同)
今やオーディションは動画配信アプリとのコラボが最新トレンドだ。
「デジタルメディア利用実態調査2017」によると、14~19歳の世代ではスマートフォン保有率は84%と、テレビ保有率の83%を上回る。若者の心を捉えるため、オーディションのコラボレーション先に動画配信アプリが選ばれるのは自然の流れといえる。一般ユーザーを審査員として参加させることでオーディション自体がコンテンツとなるため、盛り上がるという利点もある。
4月には、オーディションに特化した動画配信アプリ「mysta」が本格的にサービスを開始。女性向け動画メディアの「C CHANNEL」がTBS、集英社、エフエム東京、ポニーキャニオンなどのメディア7社をパートナー企業に迎えてスタートを切った。
取締役の三枝孝臣氏は、「これからも多くのメディアと組んで様々な出口を設け、エンターテインメント業界全体のプラットフォームにしていきたい」と意欲的だ。
「アイドル」「お笑い」「ダンス」「ボーカル」などの各カテゴリーに、タレントやお笑い芸人の卵たちが共通のテーマで動画を投稿し、一般ユーザーの視聴数などで順位付けされる。上位者は毎月1回開催するリアルイベント「mysta festa」に出場し、ユーザーの前で生パフォーマンスを披露できる。さらに、その中の優秀者は4月スタートの連動番組「キミスタ」(テレ東)にも出演できる。
「ユーザーには、応援している人たちが階段を上っていく様子を楽しんでもらえればと思います。目標は、mysta発の世界に通用するスターをつくることです」と三枝氏は語る。
今やオーディションには欠かせない存在となった動画配信アプリ。国民的スターが生まれる日も遠くないかもしれない。
(「日経エンタテインメント!」7月号の記事を再構成 文/中桐基善)
[日経MJ2018年7月20日付]
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