夏鍋、中華、担々麺にしびれる 「マー活」お薦め3店
暑い夏こそ、激辛料理が食べたくなる。今夏はサンショウを使った料理を楽しむ「マー(麻)活」が大注目だ。中華料理で、サンショウ(=麻)とトウガラシ(=辣)を効かせたピリ辛味を「麻辣(マーラー)」と呼ぶのに由来するマー活。サンショウのしびれる辛さがやみつきになる、夏のマー活にお薦めの3店を紹介する。
まずは全国チェーン居酒屋「赤から」が7月20日から8月19日まで期間限定で提供するのが、人気アニメ「うる星やつら」とコラボレーションした夏鍋2種。1人前に唐辛子30本(鍋1つに60本から)を使用した激辛唐辛子鍋と、鍋1つ(2人前)当たり10グラムの花サンショウ(ホアジャオ)を加えたビリビリ花サンショウ鍋だ。どちらも基本の鍋スープの辛さは選べる。
花サンショウ鍋の正式名称は「ビリビリ山椒(サンショウ)赤から鍋 ~ダーリン浮気は許さないっちゃ!放電ビリビリ花山椒鍋~」(1人前税抜1290円 2人前~)。「うる星やつら」の登場人物・諸星あたるがほかの女性に興味を示した時に、女性キャラのラムちゃんが加える電撃制裁をイメージして作った鍋だという。基本のスープの辛さは0番~10番から選べるので、激辛が得意ではないという人も楽しめる。
同店では中国の華北サンショウという花サンショウの粉末を使用。一般的な花サンショウに比べ、よりしっかりとした香りと、しびれる辛さが強いものだという。マー活トレンドを意識してサンショウをメインに打ち出した鍋を今回初めて用意した。
ちなみに「麻辣(マーラー)味」は中華料理店では昔から提供されている四川系の定番味で、特に夏場には注文のピークを迎える。マー活の影響で、中華料理店の麻辣メニューも大人気だ。
東京・有楽町の「パラダイスダイナシティ」は、中国・タイ・マレーシアなどアジアで10業態以上、50店舗以上を展開しているシンガポール発の中華ブランド。
同店で一番辛い麻辣メニュー「水煮牛肉」と「水煮魚片」は四川を代表する激辛料理だ。「昨夏に比べ、今年はこの2品トータルで約1.5倍の注文が入っています」と同店の金子優貴料理長。
「水煮牛肉」は牛肉のスープにトウガラシや緑サンショウを載せ、さらに熱々に熱した自家製の麻辣油をかけて辛味と香りを引き立たせた料理だ。トウガラシ、3種のサンショウ(花サンショウ、粉サンショウ、緑サンショウ)、クミンを効かせた本格的な味わいがクセになる。「水煮魚片」は「水煮牛肉」の魚バージョンで、スズキを使用し7月から8月末までの限定メニューとなる。
同店の看板メニューである八色小籠包のうち、クコの実で色付けをした赤色の小龍包には花サンショウがたっぷり。豚肉のうま味とビリビリとしびれる麻辣味にファンも多いという。
サンショウの「朝びき」にこだわる広島発の担担麺の専門店もある。広島のご当地メニュー「広島式 汁なし担担麺」はサンショウたっぷり。中華料理の坦々(たんたん)麺の汁なし版のような見た目で、広島式 汁なし担担麺の専門店「キング軒」によるとその定義は以下になる。
・麺が細い、もしくは中細の低加水麺を使用している
・肉みそと青ネギというシンプルな構成(ネギ盛りが必ずどの店もある)
・花サンショウが効いている
・価格が比較的安価
・最後に白飯を入れてシメる
2001年に広島市内に汁なし担担麺の「きさく」がオープンしたのを皮切りに、広島市内を中心に店舗が増え始め、現在では専門店が24軒、提供店に至っては県内200店を超えるという。最近、関東でも専門店が増えてきている。
中でも現在、広島に3店舗、東京にも2店舗(東京店・広島アンテナショップ内の銀座出張所)を展開するキング軒は、東京店(12席)で1日平均20回転、広島市内の本通店(10席)では最高来客数623人を達成したこともある繁盛店だ。7月10日から全国展開するコンビニエンスストアで、同店監修のカップ麺も発売されるほどの人気ぶり。
同店では週2回以上来店する客が全体の3割強を占める。マー活御用達の店だ。代表の渡部崇氏によると、「サンショウが強烈ですね、というお客さんが多く、女性にも人気で全体の4割くらいを占めます」とのことだ。
人気の要因はこだわりの厳選サンショウ。四川省産の花サンショウを使用し、シビレが強い赤サンショウ、香りの強い青サンショウ、貴重とされる紫サンショウを季節ごとに配合を変えながら独自にブレンドしている。「これらを店ごとに毎朝ひいています」(渡部氏)と朝びきにこだわり、香り豊かなオリジナルサンショウでファンを獲得している。
「広島式 汁なし担担麺」(普通、税別580円)は1辛~4辛を選べ、あらかじめブレンドサンショウがふりかけてあるが、卓上に置いてあるサンショウを追加で後がけできる。後がけ用のサンショウは香りを重視して配合してあるものだ。この後がけ用のボトル「キング軒オリジナルブレンド山椒(サンショウ)」(税別200円)は店頭やネット通販で販売されており、マー活の必須アイテムともなっている。自宅でも極上のサンショウをふりかけたい人に特にお薦めだ。
サンショウといえば、ウナギや麻婆豆腐などの料理に使われる名脇役といえる。最近では、幅広く使える万能調味料として、「マイサンショウ」を持ち歩いて日常使いしたり、マー活が日課と公言したりする人まで登場し始めた。毎年夏には激辛料理を食べずにはいられない人にとって、唐辛子とは違ったタイプの辛さや爽快感をもたらしてくれる貴重な存在となっているのだ。
(GreenCreate)
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