夏はプリーツスカート 涼やか・きちんと感を演出
宮田理江のファッション戦略論
きちんと感を出しやすいプリーツスカートの人気が続いている。さらに、ブラウス、ワンピースなど、プリーツを使ったおしゃれは広がる一方。誠実さや落ち着きなどの好感を呼び込みやすいプリーツはさまざまなシーンで役立てたい。持ち味を生かしつつ、多彩に着こなせるコーディネートプランを、東京ブランド「MIDDLA(ミドラ)」の2018年春夏新作ルックから見つけていこう。
プリーツワンピースで縦長レディーに
プリーツにはもともと動きがあるが、ひだの細かいタイプは、さらにリズム感が出る。ワンピースを1枚で着る場合でも、細プリーツが施してあれば、単調に見えにくい上、レディーライクな雰囲気に仕上がる。ワントーン(単色)の服にも、ひだの陰影が深みをもたらし、落ち着いて映る。あえてノーアクセサリーを選んで、プリーツの表情を引き立てたい。
直線を強調するプリーツは縦長シルエットと相性がよい。ロング丈のワンピースは、縦に長く走るプリーツとの相乗効果でスレンダーな着映えに。落ち感が印象的だから、シンプルに仕上げて。ウエストのあたりでリボンやベルトを緩めに巻いて垂らせば、さらに縦落ちイメージを増幅できる。
プリーツスカートで細脚アピール
スカートでプリーツを生かすなら、ロング丈が効果的だ。レングスがたっぷりある分、直線的なひだがシャープなほっそり脚のイメージを寄り添わせてくれる。異素材で切り替えてあるタイプは風合いに変化があり、上品な風情を醸し出す。トップスをウエストインすれば、ロング丈スカートとのコントラストで、上半身が一段とコンパクトに見える。スカートが品格を帯びているから、トップスで多少の露出や遊びも試しやすい。
ノーブルな雰囲気の強いプリーツスカートだが、主張やアレンジを利かせたタイプを選ぶと、別のムードを呼び込める。例えば、プリーツ部分にメタリック加工を施したスカートは、ひだが揺れるたびにきらめきを放ち、ドレッシーなシーンにもなじむ。スリット入りや2枚重ねなどの工夫が盛り込まれたデザインは、大人っぽさやグラマラス感をまとわせる。
部分プリーツで品格&大人感
前身頃だけとか、裾だけといった具合に、プリーツを部分的にあしらうと、静かなアクセントになってくれる。チェック柄のワンピースは裾からちらりと控えめにプリーツがのぞく。裾プリーツは程よくレディー感を添えてくれる。裾がアシンメトリー(不ぞろい)になっているのに加え、歩くたびにプリーツが揺らめいて、退屈に見えない。
ひだを折り畳んだような見え方のタックプリーツはシャツ身頃の胸飾りとしておなじみ。メンズの礼服用シャツにも似た、適度な飾り気と正統派ムードが備わる。シャツワンピースの前身頃に迎えれば、ドレッシーな雰囲気が加わる。プリーツを部分的に配するだけで、着姿全体に節度やコケット感が宿るから、薄着になるサマールックもルーズに見えにくくなる。
賢いスタイリングで夏のプリーツを味方に付けたい
安藤大春デザイナーが手掛ける「ミドラ」の2018年春夏コレクションはプリーツで動きや揺れを表現している。少し大人の女性へと変貌を遂げる感覚をプリーツに託した。スタンダードなアイテムやクラシカルなディテールを通して、「東京の日常」スタイルを表現するブランドならではの提案だ。
涼しく過ごしたいけれど、手抜きに見せたくはないという、夏服特有のジレンマを、プリーツは遠ざけてくれる。折り目正しいディテールが節度を印象づけ、エレガントさも漂わせるから、夏のプリーツは賢いスタイリングで味方に付けたい。
(画像協力 ミドラ)
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研パブリッシング)がある。
[nikkei WOMAN Online 2018年6月16日付記事を再構成]
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