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ベンツGクラス 違いが見えないモデルチェンジの理由

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メルセデスのSUV、Gクラスがモデルチェンジを行った。実はGクラス、旧モデルの人気も高かった。2017年の売り上げは10年の実に4倍だったという。その人気の秘密、そして異例ともいえる、「現物を見ても新型だと気づかないかもしれない」モデルチェンジの狙いを、自動車評論家の渡辺敏史氏が解説する。

◇  ◇  ◇

世にいう「ロングセラー」とは、果たしてどのくらいの年月を生き永らえた商品のことを指すのでしょうか。

それはもちろん種別によって異なるわけで、食べ物の世界なら半世紀1世紀なんて期間はざらです。思いつくままに調べてみると、黄色い箱に入った森永ミルクキャラメルが誕生したのは100年以上前、デザインが印象的なキッコーマンの卓上しょうゆ(しょうゆ卓上びん)は50年以上の歴史があります。逆にロングセラーが成立しづらい種別として思い浮かぶのは、周辺技術の更新が著しいIT(情報技術)関係でしょうか。

クルマはどうでしょう。日本で33年間ベストセラーの地位を守り続けた乗用車といえばカローラですが、日本国内販売台数第1位を維持していた1969年から2001年の間に施されたフルモデルチェンジは8回。ほぼ4年ごとの刷新だった計算になります。

近年はフルモデルチェンジの期間は延びていますが、モデルライフの長いドイツ車でも7年前後での刷新が通例となっています。要求される安全・環境性能、進化する快適装備の盛り込みなどを鑑みると、そのくらいのサイクルがちょうどいい。日々クルマ屋的な視点で情報を追っていると、これはひとつの収れん的な値ではないかとも思ったりするわけです。

39年目のフルモデルチェンジ

先日、メルセデス・ベンツGクラスのフルモデルチェンジが行われました。メルセデスのSUV(多目的スポーツ車)であるGクラスの登場は1979年のこと。先の慣例に照らせばもう5回くらい刷新を重ねていてもいい頃合いなわけですが、登場から39年後の今に至るまでフルモデルチェンジを受けていませんでした。さすがに搭載エンジンや駆動方式、内外装など時流に沿った細かなリファイン(改良)は重ねていますが、骨格や外枠など基本的なところはずっとそのままです。なんでこんなことになったのか。

いくつかある中で最大の理由として挙げられるのが、元は北大西洋条約機構(NATO)軍に納入する多目的機動車として開発されたものを民生化したという出自です。いわゆるミルスペック(軍用規格)においては長期にわたる部品互換性などを担保しなければなりませんから、一度表に出した諸元をちょいちょいと変えるわけにはいきません。ゆえに民生品であるGクラスも歩を合わせるように大改変が見送られてきました。

そして、もう一つの理由は、そのかたくなさにまつわるものです。

丸目ヘッドライトに直線基調のボディー、むき出しのドアヒンジなど、時空を超えてきたかのようなクラシックなディテールは、モデルチェンジがなかったからこそ残った古き良きたたずまいです。乗ってみてもミルスペックならではの堅牢(けんろう)さが感じられます。その辺りが、今のクルマにはない個性的な味わいにつながっている。

その個性が評価されてか、実はGクラス、39年がたった今になって販売台数を急激に伸ばしているのです。

日本が世界的な人気の火付け役に

Gクラスの17年の世界販売は約2万台。10年に対して約4倍という、にわかに信じ難い数字です。これ、極限性能を必要とする冒険家が急に増えたというわけではないでしょう。そのヘビーデューティー感を自らのライフスタイルの表現に用いる、そういう需要が増えている。

日本にもファッション的な感覚でGクラスに接する人たちは相当数いらっしゃいます。というより、Gクラスの突出した個性にいち早く着目し、それを世に広めたのは、原宿に代表されるストリートカルチャーに近いところにいた日本のユーザーかもしれません。21世紀に入ってから徐々に顕著になっていった日本のこの動向、かつてダイムラーの役員から「マーケティング部門も注目していた」と実際に聞いたことがあります。

直近10年で4倍の伸びを示す異様な売れっぷりの商品を、なにも今、変えることはないんじゃないか。そう思うかもしれませんが、そういうわけにいかないのは、例外なしのCO2排出量削減に加えて、歩行者保護なども含めた衝突安全対策も盛り込むべき必要が出てきたから。これらはさすがに39年前の基本設計ではいかんともし難いわけです。

完全刷新を迫られたGクラス。法的要件のクリアやユーザビリティーの改善を果たすことを絶対としながら、現在の特殊な支持にどうやって応えるかが鍵となってきました。

結果、採られた策は、徹底的なキープコンセプトです。

外見は変わらないけれど、ほとんどが新パーツ

現物をみても多くの人はそのGクラスが新型であると気づかないかもしれません。あえてそういう仕立てにしてあります。

しかし、この新型Gクラス、先代からは3~4点しか部品のキャリーオーバー(流用)はありません。ネジ一本に至る隅々まで改められています。

搭載エンジンはダウンサイジング化され、9速という多段ATと組み合わせられていますから、CO2排出量は先代同グレード比で2割近く低減しています。ボディーも170kg減量。この軽さはCO2排出量だけでなく、走りにも大きな影響を及ぼしているわけです。

新型Gクラスの最大の変化といえるのが操縦性の改善です。

先代は舗装路走行よりも悪路走破性を最優先で設計されていたがゆえに、現代のクルマに慣れた身には、走る曲がる止まるの全てにおいて独特の間合いをくみながら運転する必要がありました。乗り心地においても横に揺すられるような動きが常に感じられる。こういった癖も、Gクラスだからこそと楽しむ姿勢が求められたわけです。

新型Gクラスでは、その癖の根源ともいえるフロントサスと操舵(そうだ)の形式をガラリと変えて、乗り心地や操縦性を一気に今日的なものとしました。レーンキープアシストなど最新の運転支援システムが搭載されています。

それでいて、期待される古風で武骨な趣をどこまで残せるか。これが実にうまくできているのです。

わざと手間を残して

たとえばオフロードを走るとき、ギアを変えたり制御ボタンを押したりといくつかの手順が求められます。現在のSUVであれば、そんなのモードセレクターを回すだけで全部自動設定してくれたりするのですが、あえてその手間を残している。アナログレコードにわざわざ針を落とすような、かつてドキドキしたプロセスを味わわせてあげようというわけです。

ちなみに先代はドアの開閉感ひとつとっても、精度の高い金属同士がガチッとかみ合う、ドイツプロダクトらしい手応えがあったのですが、新型Gクラスもそこのところを完コピともいえる仕上がりで応えています。

どこが、何が、Gクラスの勘どころなのか。モデルチェンジを散々引っ張っただけあって、さすがに熟知していらっしゃると思うのは、恐らく僕だけではないでしょう。

渡辺敏史
 福岡県出身。出版社で二・四輪誌編集に携わった後、フリーの自動車ライターに。主な著書に、2005~13年まで週刊文春に連載した内容をまとめた「カーなべ」(上下巻、カーグラフィック)。

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