実は情報スキル低い日本の子供 端末利用で世界に遅れ

日経DUAL

発信力こそ勝ち組に必要 今すぐ訓練を始めよう

日本の子どもの情報機器所持率が低いことの背景要因について、お分かりいただけたかと思います。ただ、所持率が上がればいいというのではありません。スマホでゲームをしたり、面白おかしい情報を消費したりするだけというのは寂しい。自身で情報を加工・創造し、発信できるようになるのが望ましい。そのことが、情報化社会で「勝ち組」となるための条件であるように思うからです。

この面の国際比較をしてみましょうか。OECDの「PISA 2015」では、「情報機器で、創作物(音楽、詩、動画、プログラム…)を発信することがどれほどあるか」と聞いています。日本の15歳生徒の回答分布は、創作物の発信が「全く or ほとんどしない」が79.3%、「月に1.2回」が9.3%、「週に1.2回」が5.3%、「ほとんど毎日」が2.6%、「毎日」が3.4%、となっています。全く(ほとんど)しない生徒が8割で、創作物を週1回以上発信する生徒は1割ちょっとしかいません。

この2つの割合をとった座標上に、46の社会を配置すると図2のようになります。

日本はネットで創作物を発信する頻度が最も少ない、ということです。スマホをよく眺めていますが、情報を受け取るばかりで、それを創造し発信する姿勢に欠けるようですね。

15世紀の印刷術の発明はグーテンベルク革命といわれますが、インターネットの出現はそれに次ぐ「ポスト・グーテンベルク革命」と形容されます(潮木守一・名古屋大学名誉教授)。一部の人間だけでなく、誰もが手軽に情報を発信できる。この文明の恩恵をもっと利用するよう、子どもを仕向けたいもの。むろん、よからぬ情報を発信してしまわないよう、情報モラルの指導も併行してのうえです。

大学で教えていた時、マスコミ志望の学生さんによく会いましたが、私は「ブログやウェブサイトを持ち、自分を発信しなさい」とアドバイスしていました。大学に入ったらすぐに自分のオリジナル・メディアを持ち、在学中にかけてじっくり育てる。その作物が、就職活動の強力な武器になります。怪しい塾などに行くべからず。

願わくは「大学に入ったら」ではなく、もっと早いほうがいいでしょうね。今回お見せしたデータは、希望的事実と受け取っていただきたいと思います。「子どもの頃からパソコンやスマホを使いこなし、情報発信している人はわずかしかいない。ちょっとの努力で他を抜きん出ることができる」。こう解釈してください。

舞田 敏彦
教育社会学者。1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)、『データで読む 教育の論点』(晶文社)など。

[日経DUAL 2018年5月17日付記事を再構成]

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