実は情報スキル低い日本の子供 端末利用で世界に遅れ

日経DUAL

パソコンスキルは45カ国中最下位。原因は親の警戒心?

日本では、この手の機器を早いうちから与えるとよからぬことが起きるという警戒が強いのでしょうが、行きすぎた考えはよくありません。国際学力調査ではいつも世界でトップレベルなのですが、情報化社会を生き抜くのに必要な資質能力が身につくのかと、ちょっとばかり心配になります。

私に子どもがいるとしたら、スマホはともかくパソコンは早期に買い与えます。情報を加工・創造するスキルを習得し、情報を消費するだけではなく、生産・発信する存在になってほしいからです。

日本の生徒の情報を加工・創造するスキル、パソコンスキルは、他国と比してどうなのでしょうか。経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査「PISA 2009」によると、日本の15歳生徒のうち、コンピューターで「グラフ作成」「プレゼンテーション資料作成」を、自分で上手にできると答えた者の割合は3割ほどで、45カ国の中で最も低くなっています。

あくまで自己評定の結果で、日本の生徒は謙虚な回答をしたのかもしれませんが、パソコン所持率が低いこと(表1)を思うと、実態を反映しているような気もします。私の経験でも、エクセルで簡単な棒グラフも作れぬ学生さんに出会ったことが多々あります。3年生対象の授業でしたが、「エクセルなんて、1年時の情報処理の授業以来、開いたことがない」という子が多いのには仰天しました。これは、コンピューターが必要な課題を出さない、ないしはそれを必須ならしめる環境を用意していない大学の責任だなと、思った次第です。

まだプリント!? 日本の学校は情報化社会の孤島

ICT(情報通信技術)先進国のデンマークなどでは、庶務連絡や提出物のやり取りもネット経由ですのでパソコンがないと学校生活が成り立たないでしょう。「教育の情報化」が目指されていますが、それはICT機器を使った教授・学習活動だけでなく、学校生活全体のICT化も含みます。日本は双方とも遅れているのですが、とりわけ後者はひどい。図1は、学校のウェブサイトの利用度(教材などのダウンロード、庶務連絡のチェック)の国際比較図です。「瑞」はスウェーデンをさします。

ぐうの音も出ません。本当に先進国なのかと目を疑います。図1の右上にプロットされている国々では、教員が教材プリントを刷って生徒に配るなんてことはしません。行事への出欠の伝達も、ウェブサイト上でワンクリックです。日本の教員の過重労働は世界一ですが、学校のICT環境が立ち遅れていることが大きな原因になっているように思われます。文部科学省もそれを認識し、昨年の夏に出された「学校における働き方改革に係る緊急提言」では、校務のICT化の推進が提言されています。

日本でも、民間企業はここまでひどくないでしょう。学校だけが、社会のICT化から取り残されているのかもしれません。こうした「陸の孤島」で育った生徒は、実社会に出た時に戸惑うことになります。学校のICT化は、教員の業務の適正化だけでなく、情報化社会に適した教育を行うためにも必要なことです。

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