マネー研究所

カリスマの直言

北欧に学ぶ キャッシュレス支える強い経済(加藤出) 東短リサーチ社長チーフエコノミスト

2018/7/23

北欧は「中銀デジタル通貨」問題にどう対応するのか(写真はヘルシンキのフィンランド中銀)
「北欧でキャッシュレス化が進んだ背景には、人々のITリテラシーの高さがある」

北欧のフィンランド、スウェーデン、デンマークを先日旅行した。この3カ国はいずれも欧州連合(EU)加盟国だが、通貨はフィンランドはユーロ、スウェーデンはクローナ、デンマークはクローネと異なっている。

以前であればその3カ国を旅行する場合、3通貨の現金を用意しなければならなかった。しかし、今や北欧はキャッシュレス化で世界最先端を行っており、そうした煩わしさはない(詳しくは以前のコラム「キャッシュレス先進国 北欧で見た、考えた」を参照)。

電子チップ内蔵式のクレジットカードを持っていれば現金はまず必要とされない。旅行者にとっては、国境を越えるたびに円換算レートは変わるものの、それ以外は3か国の通貨が異なることは意識されなかった。カード端末の調子が悪かったりすることもあるので、少額の現金は持ち歩く方が無難ではあるが、それはきわめてまれである。

■キャッシュレス化はITリテラシーの高さ

北欧でキャッシュレス化が進んできた背景には、そもそも人々のIT(情報技術)リテラシーの高さがある。EUが最近発表した調査によれば、EU内で経済と社会のデジタル化が最も進んでいる国はデンマークという結果だった。以下、2位はスウェーデン、3位はフィンランドとなっている。ちなみに英国は7位、ドイツは14位、フランスは19位だ。

また、全雇用者に占めるIT専門家の比率はEU平均は3.7%だが、フィンランドは6.6%で1位、スウェーデンは6.3%で2位だった(最も低いのはギリシャで1.4%)。

金融機関や企業、商店が、金融とITが融合したフィンテックの技術を導入してキャッシュレス化を推進することを北欧では中央銀行も積極的にサポートしている。しかしながら、そういった北欧の中銀であっても、昨今の仮想通貨ブームに対しては冷たい態度を示している。

その典型例がフィンランド中銀に見られる。同行は18年6月13日付のブログで、「仮想通貨は通貨としての要件を満たしておらず、通貨ではない。それは仮想資産と呼ぶべきであり、規制当局の監視下におかれる必要がある」との仮想通貨批判を展開していた。これは先進国の中銀に現在共通するスタンスなのだが、スウェーデンやデンマークの中銀もそれに賛同している。

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