「画竜点睛を欠く」の言葉どおり、男の装いは最後のツメが甘いと形無し。では、鍵を握る“ツメ”とは何か? それは「テクとメンテ」だと断言したい。着こなしにニュアンスを宿す仕上げのテク、身だしなみを整えるメンテ。本特集で紹介するのは、ほとんどが2分もかからず実践できるものばかりだが、どの簡単ワザでも、あなたのお洒落は確実にレベルアップするはずだ。
前回掲載「チーフやラペルピンをアレンジ 2分で見違える胸元」もお読みください。
1. コバ磨きのひと手間で靴が新品のような見栄えに
「車でいうホイール」と言われているように、コバ(靴先のふちの部分)は靴全体の印象を左右する重要部分。意外とダメージが目立ちがちなので、しっかり補修しておきたい。
ブリフトアッシュ 長谷川裕也さん
2004年に靴磨き職人としてデビュー後、業界屈指の実力で靴好きから熱烈な支持を得るシューシャインのご意見番。
〈こちらを使用〉ブートブラック エッヂカラーコバ補修補色 コバインク70ml
革底靴のコバやヒールの傷、色ハゲをカバーする補色剤。インク状の液を塗った後に磨き上げれば、補色しながら美しい光沢もまとわせられる。800円(コロンブス商品相談室)
1. 280番手の紙やすりでコバを滑らかに削る
目の細かい紙やすりを使ってコバのザラつきを取る。「ザラッという音がなくなるまで擦リましょう」
2. アッパーにつかないようコバインキを塗る
紙やすりで平らにしたコバにインキを塗布。「染みになってしまうのでアッパーにつかないよう注意が必要」
3. アッパーごとブラシをかける
アッパーとコバの境目を一緒にブラッシング。「インクがコバにしっかり浸透してより黒が映えるんです」
2. 栄養クリームで磨けば剥げた鏡面磨きが蘇る
磨耗して光沢が鈍くなってきた鏡面磨き。実はいちからポリッシュしなくても、保革クリームを使うことで、もう一度輝きを蘇らせることが可能だ。
ワールド フットウェア ギャラリー バイヤー 日高竜介さん
国内外の良質な靴を揃える人気店のキーマン。日々試行錯誤しながら自己流のケア術を革新し続けるメンテ好き。
クリームの界面活性剤が靴のワックスを整える
「一般的な保革クリームには界面活性剤や有機溶剤などが含まれているので、磨けば剥げた鏡面コーティングを一度溶かして再構築できるんです」。鏡面膜は薄くなっていくので回数には限界があるそう。
〈鏡面磨きの上級テク〉側面下部の鏡面磨きを加えればドレッシーさが倍増します
長谷川さんが提唱したサイドの鏡面磨き。「トウとヒールを繋ぐように側面下部を鏡面磨きすると全体に光が回って見えるんです」(長谷川さん)割れの原因にもなるので側面の鏡面磨きは下部のみに留めよう。