eスポーツで国体を刷新 魅力度最下位、茨城県の逆襲大井川知事が語る、競技会開催の舞台裏

通常の国体競技は選手の年齢によって、高校生が対象の少年の部とそれより上の成年の部に分かれる。障害がある人については国体の終了後に、同じ地域で全国障害者スポーツ大会を開く。茨城国体のeスポーツは、そうした壁も取り払う。

「eスポーツは通常の国体と同じように、少年と成年に分けます。少年こそ高校生が対象ですが、成年は完全にオープンにするつもりです。障害の有無、年齢、性別は一切問いません。どんな方でも都道府県の予選を勝ち抜けば出場できます。真の実力で勝負してもらえる大会にしたいです」

日本スポーツ協会とせめぎ合いも

大井川知事の前職はドワンゴの取締役。eスポーツに対しても偏見がなかった(茨城県が作成したプロモーション用の写真)

eスポーツの位置づけを巡っては、日本スポーツ協会と見解のずれがあった。大井川知事は文化プログラムではなく「エキシビションマッチ」として開きたかったが、認められなかった。

「エキシビションマッチを巡り、日本スポーツ協会との間でせめぎ合いがありました。我々は、eスポーツだって立派なスポーツだと思っているし、国体の正式競技にできるだけ近づけたい。それに対し、(日本スポーツ協会には)今までのスポーツ観と相いれないと考える人もいます。エキシビションマッチは将来の正式競技に道を開くものになるので、抵抗感があったのかなあと思います」

国体には正式競技、公開競技、デモンストレーションスポーツという3つの競技があり、それぞれ細かな規程がある。茨城国体で正式競技と公開競技に何を実施するかは12年に決定済みで、デモンストレーションは開催県の居住者が対象と定められている。そもそも大井川知事がこだわったエキシビジョンマッチは国体の規程にない。茨城県がeスポーツで都道府県対抗戦を開くのであれば、文化プログラムしか選択肢がなかったといえる。

「国体を始めたころと大きく時代が変わってきているにもかかわらず、(運営形態を)ほとんど変えようとしてこなかったという意味では、国体には大きな課題があると思います。五輪に出るようなトップアスリートが参加するわけではありませんし、都道府県の代表といっても、非常に形式化してしまっています。だから国体のもようは全国的なニュースになりませんし、どこのだれが優勝したかもほとんど話題にのぼりません」

「今度の茨城国体では、eスポーツは既存のほかの競技を上回って、相当注目されると思います。そういう意味では、既存の競技を含む国体のあり方、いったい何のために国体をやっているのかを見直す機運が生まれるのではないかと期待しています」

世界はもっと進んでいる。国際オリンピック委員会(IOC)はeスポーツについて盛んに議論しており、24年のパリ五輪で競技に採用されるとの観測もある。だが日本オリンピック委員会(JOC)では議論の俎上(そじょう)にものぼっていない。

「道具を使うスポーツは、ほかにもカーレースとかいくらでもありますよね。ですからeスポーツがスポーツでないとしたら、何をもってスポーツとするのかという感じです。20年の東京五輪では是非、エキシビジョンマッチくらいはやってほしいです。あと2年たてば、世界でeスポーツは相当認知されていると思いますよ。こういう分野の変化のスピードはものすごく速いですから」

つくばをeスポーツの聖地に

大井川知事がもう一つ狙っているのが、茨城県のイメージアップだ。民間の調査会社が毎年発表している都道府県の魅力度ランキングでは、昨年まで最下位の47位が5年続いている。

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